Research Abstract |
口腔扁平上皮癌患者の生検材料についてJacobssonら(1978)の組織学的悪性度分類を一部改変し,(浸潤型,浸潤傾向,壊死傾向,炎症性細胞浸潤,脈管侵襲,分化度)について分類.その中でも舌浸潤癌についてまとめ,学会誌に報告した.それによりび浸性の浸潤傾向を示す,腫瘍では腫瘍径にかかわらず,高い頸部リンパ節転移が認められ,予後とも相関が認められた. また,手術時の摘出標本のsurgical margin部について全周にわたり1-2mm幅にて数ヵ所切除し,採取後ただちに一部を-80℃で凍結保存.原発巣の腫瘍中心部について各種のcytokeratin(CK)における免液染色を行ない,扁平上皮癌における各種CKの染色性を観察した.また,分化度との関連性についても検討を行なった.その結果,CKs7,8,17,18は染色性を示さず,CKs10,13,19は腫瘍の分化度に関連なく高い染色性が認められた.これよりPolymerase chain reaction (PCR)法を用いて原発巣周囲の微小浸潤癌細胞の検出についてCKs10,13,19の発現の検討を行った.腫瘍切除範囲は腫瘍部より15-20mmの範囲で切除されており,その周囲からは組織学的悪性度に関係なくCKs10,13,19の発現は認められなかった.また,頸部郭清術が施行された症例においてリンパ節についても微小癌細胞の検出をCKs10,13,19の発現を用いて行ったが組織学的転移陽性症例との差異は認められなかったが転移陽性例ではCKs10,13,19の発現を認めた.また,さらに他の組織学的所見を含めた転移因子についても検討した. 今後,さらに症例数を増やし,原発巣周囲の微小癌細胞の検出をPCR法用いてCKs10,13,19の発現を検討し,臨床成績との関連について検討を行う予定である.
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