2000 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌に対する新しい免疫療法の試み-頭頸部癌由来物質の免疫原性について-
Project/Area Number |
12771253
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
高橋 悦治 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (60278174)
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Keywords | 免疫療法 / 頭頸部癌 / 腫瘍抗原 |
Research Abstract |
本研究では,実験動物に接種した癌細胞数と固形癌形成率との関係および腫瘍抗原(TAA)の由来を明らかにすることを目的として実験を施行し,以下の結果を得た。 1)接種した癌細胞数と固形癌形成率 剃毛したBALB/cマウスの側背部皮下に同系マウス由来(Ehrlich)細胞を1x10^6-5x10^7個接種した。接種21日後に換算腫瘍重量が30mgとなったものを固形癌形成とし,その形成率を検討した。その結果,2x10^6-1x10^7個の細胞を接種したマウスは約60%の固形癌形成率であった。 2x10^7個以上の細胞を接種しても形成率は上昇せず(約50%),1x10^6個以下の接種では固形癌の形成がみられなかった。また,腫瘍換算重量と接種細胞数との明らかな相関性はみられなかった(n=12)。 2)TAAの由来について (1)マウス由来細胞をホモジナイズし,核,細胞膜および可溶蛋白分画に遠心して分離した。.得られた10μgの細胞膜または可溶性蛋白をBALB/cマウスの側背部皮下に注射した(抗原処理)。2週間後にマウス由来細胞を5x10^6個接種すると抗原処理しなかったマウス(n=3)の固形癌形成率は55%であったが,抗原処理したマウス(n=3)では固形癌の形成はみられなかった。 (2)無血清培地でマウス由来細胞を培養し,その培養上清を凍結乾燥した。この培養上清蛋白10μgをBALB/cマウスの側背部皮下に注射した。2週間後にマウス由来細胞を5x10^6個接種したところ,固形癌は形成されなかった(n=3)。 以上の結果から,宿主は癌細胞の細胞膜および細胞から産生された液性因子を抗原として認識しうること,さらに抗原量によって腫瘍細胞に対する認識能が異なっていることが示唆された。
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