2000 Fiscal Year Annual Research Report
DNAアレイ法を用いた根尖部歯根吸収に関与する細胞内シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
12771271
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松本 芳郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20292980)
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Keywords | 歯の移動 / 歯根吸収 / 破歯細胞 / 早期接触 / 歯科矯正 |
Research Abstract |
本年度は歯の移動に伴い歯根吸収を引き起こす実験系と対照となる実験系を開発・改良し検討を加えた。SD系雄性ラットの上顎M1・M2間に初期荷重1.2,3.6,6.5,10gfに調整したTi-Niワイヤーを装着した。さらに対照群では対合歯を抜歯し,実験群では,M1咬合面に付けたレジンによる早期接触により歯根吸収を起こさせた。また,初期荷重2,10,35gfのTi-Niコイルスプリングとチタンマイクロスクリューにより上顎M1の近心移動を行った。さらに50gfのTi-Niコイルスプリングとチタンマイクロスクリューにより下顎M1の挺出移動を行った。その際,咬合機能低下した歯根膜と正常な歯根膜での歯根吸収の相違を比較した。TRAP陽性で多核の破歯細胞が存在する吸収窩を新たに形成された吸収窩と判定した。 初期荷重1.2,3.6,6.5,10gfの対照群では,荷重の増加に伴い移動速度が増加したが,歯の移動に伴う歯根吸収は認められなかった。しかし,早期接触を伴って歯の移動を行うと移動速度は減少し,根先部に歯根吸収が認められた。また,コイルスプリングを用いた場合は,2,10,35gfと荷重の増加に伴い移動速度が増加した。50gfでの挺出移動では歯根吸収が認められるようになり,さらに咬合機能低下させると歯根吸収窩の断面積が有意に増加した。現在,これらの実験系の組織から必要十分な遺伝子を採取する段階に入っており,DNAアレイ法の実験条件の検討中である。さらに,RT-PCR法,酵素抗体法による免疫組織化学的手法による検討も並行して行う計画である。
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