2000 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節円板の粘弾性特性解析と円板穿孔の生成メカニズムの解明
Project/Area Number |
12771280
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 栄二 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40273693)
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Keywords | 顎関節円板 / 粘弾性特性 / 円板穿孔 / 応力緩和 |
Research Abstract |
顎関節円板のもつ粘弾性特性を検討するため、ウシ顎関節円板を用いた粘弾性特性解析を行った。実験としては、引張り試験として2種類の持続的な一定荷重付加時におけるクリープ現象とその後の除荷によって生じる残留歪み量の計測を行った。圧縮試験として、一定歪み量を付加した場合の応力緩和の様相を検討した。結果として、顎関節円板はその主要な構成成分であるコラーゲン線維の存在により、付加された応力に対する抵抗性を持つばかりでなく、組織の浸透力によって、重要な応力緩和能を有することが明らかとなった。クリープ試験では2時間の持続的な引張り力付加後の残留歪み量を測定した結果、残留歪み量はきわめて小さいことから組織自身に永久的な変形を生じさせないように、歪みエネルギーの消費を行っていることが示唆された。これらの結果は準線形モデルに近似され、実験データを理論的に予測することが可能であることを含めて、一連の研究結果は現在、英文雑誌であるArchives of Oral Biologyに投稿中である。 顎関節円板の各種応力に対する抵抗性についてはコラーゲン線維ばかりでなく、顎関節円板を構成する細胞外基質成分のプロテオグリカンの存在が重要な役割を果たしていることが知られている。また、プロテオグリカンの中でも、圧縮力に抵抗する成分と引張り力に抵抗する成分とは異なり、それぞれコンロドイチン硫酸とデルマタン硫酸が挙げられている。そこで粘弾性特性解析において用いた顎関節円板を用いてウェスタンブロット法による生化学的定量解析を行っている。各種細胞外基質が組織の有する生体力学的性状との間に相関を有することが明らかとなれば、従来の報告を裏付けることとなり、また、今後の顎関節円板に関連した疾患の治療法の開発にも指針を与えることとなる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tanaka,E. et al.: "Viscoelastic property of human temporomandibular joint disk with internal derangement."Journal of Oral and Maxillofacial Surgery. 58. 997-1002 (2000)
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[Publications] Tanaka,E. et al.: "Mechanical properties of human articular disk and its influence on TMJ loading : studied with the finite element method."Journal of Oral Rehabilitation. (In press).
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[Publications] Tanaka,E. et al.: "Influences of occlusal and skeletal discrepancies on biomechanical environment in the TMJ during maximum clenching."Journal of Oral Rehabilitation. (In press).