2000 Fiscal Year Annual Research Report
矯正力により牽引側に誘導される破骨細胞形成阻止因子発現機構の解析
Project/Area Number |
12771285
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小林 泰浩 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (20264252)
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Keywords | 骨芽細胞 / Osteoprotegerin / RANKL / CGRP |
Research Abstract |
歯に矯正力をかけると,牽引側では骨芽細胞が出現することおよびこれと同じ時期に破骨細胞形成阻止因子(OPG)が発現すること,さらに,牽引側では一酸化窒素(NO)合成酵素の発現やCalcitonin gene related peptide(CGRP)含有神経の分布が著明に変化することなどが,明らかにされている.本研究では,牽引側におけるOPG誘導機構を明らかにすることを目的とし実験を行った.可能性のある因子としては骨芽細胞の増殖および分化に作用することが報告されている分子を選んだ.そこでNOおよび神経由来ペプチドであるCGRPにOPG誘導能があるかをマウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞を用いて調べた.まず,骨芽細胞様細胞を10^<-8>M Vitamin D3存在下で培養し,10^<-7>MのCGRPを添加した.その後,これらの細胞からRNAを抽出し,RT-PCRおよびノーザンブロティング法を行い,OPGならびにRANKLの発現を検索した.その結果,骨芽細胞様細胞において,Vitamin D3はRANKLの発現を著明に増加し,OPGの発現を低下させた.この低下したOPGの発現は,CGRPの添加によって増加することが認められた.また,CGRP単独の添加の場合にも,OPGの発現は増加した.これらの結果とCGRPトランスジェニックマウスでは骨量が著しく増加すること,また,牽引側ではCGRP含有神経が著明に変化することを考え合わせると,CGRPが牽引側において,OPG誘導因子の1つとして機能している可能性が示唆された.
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