2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルキルペルオキシヨーダンを活用する炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
12771356
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
末田 拓也 徳島大学, 薬学部, 助手 (40260682)
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Keywords | アルキルペルオキシヨーダン / ラジカル / 酸化 / 付加 |
Research Abstract |
私の研究室で開発した、室温で安定な結晶として取り扱うことの可能なアルキルペルオキシヨーダンは、溶液中では超原子価ヨウ素とペルオキシ酸素との間の弱い超原子価結合がhomolyticに開裂して、アルキルペルオキシラジカルとヨーダニルラジカルが発生する。このような性質に着目して、これまで私の研究室ではアルキルペルオキシヨーダンを主にラジカル性酸化剤としての利用に関して研究を行ってきた。 今回私は、アルコールやエーテルなどのα位水素原子をアルキルペルオキシヨーダンを用いてラジカル的に引き抜き、隣接する酸素原子によって安定化された求核的なアルキルラジカルを発生させて、電子不足なオレフィンへの付加反応を行い、炭素-炭素結合形成反応を行うことを計画し、実際にこの反応が有用であることをこの研究期間内に確認した。例えば、フェニルビニルスルホン存在下にイソプロパノールや1,3-ジオキソラン中、触媒量のアルキルペルオキシヨーダンを50℃で作用させたところ、発生したα-オキシアルキルラジカルがビニルスルホンめβ位に位置選択的に付加した化合物が高収率で得られた。 炭素-炭素結合形成反応は言うまでもなく、有機合成上最も重要な反応であり、求核置換反応を代表として数多くの手法が開発されている。アルキルラジカルの不飽和結合への付加反応もその一つである。また近年、立体選択的なラジカル付加反応に関する報告も種々みられるようになり、ラジカルを活用する炭素炭素結合形成反応の有用性が益々注目されることが予想される。
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