2001 Fiscal Year Annual Research Report
化学的手法による「ステロイド生合成に残された謎」の解明
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12771372
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
高尾 裕子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (00279118)
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Keywords | ステロイド生合成 / カオチン / プレC環 / 環拡大反応 / 環化反応 / ルイス酸 / Wagner-Meerwin転位 |
Research Abstract |
本年度は,ステロイド生合成におけるプレC環部のモデル化合物として三級アルコール部を持ち,側鎖部の立体化学が異なる二種のビシクロ[4.3.0]ノナン誘導体の合成を行った.また,それぞれを様々なルイス酸と反応させることで三級カチオンを発生させ,側鎖の立体化学が反応に及ぼす影響についても検討を行った.まず,4-ペンチン-1-オールから数工程を経て直鎖エポキシエンイン化合物を合成し,これをエチレンカーボネート共存下メチルアルミニウムジクロライドを用いた環化反応を行うことで,6位にエクアトリアル配置のメチルケトン基を有するビシクロ[4.3.0]ノナン誘導体を合成した.さらにこれを酸処理する事で6位の異性化を行い,側鎖がアキシアル配置の誘導体も同時に合成することが出来た.さらに,それぞれに対してメチル化を行うことで,(2S^*,5s^*,6s^*,9R^*)-1,1,5-トリメチル-2-アセトキシ-6-(1-メチル-1-ヒドロキシエチル)ビシクロ[4.3.0]ノナン及び,この6位における立体異性体をステロイド生合成におけるプレC環部のモデル化合物として合成した. これらの10位に三級カチオンを発生させるべく,三フッ化ホウ素あるいは四塩化チタン等のルイス酸で処理したところ,いずれもアンチペリプラナー型の連続Wagner-Meerwin転位反応が進行した(2s^*,6s^*)-Δ^<5.9>-1,1,6,10,10-ペンタメチル-2-アセトキシ-[4.3.0]ノネンが主成績体として得られた.これは,両基質ともに生じた三級カチオンに対してまず脱プロトン化が起こり,同じ反応中間体を経由した結果であると考えられる.この事により,化学反応において側鎖の立体化学の違いが反応に及ぼす影響を検討するには,基質或いは反応試薬自身に,生体内における酵素が持つように,生じた三級カチオンを安定化させる部位を存在させる必要性があることが示唆された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Takao: "The C-Ring Problem of Sterol Biosynthesis : TiCl_4-Induced Rearrangement into the Anti-Markovnikov Cation Coresponding to the C-Ring"Org.Lett.. 7. 1589-1595 (2001)
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[Publications] H.Takao: "Intramolecular Oxymercuration of 4-Hexen-1-ols : Kinetic vs. Thermodynamic Products Regulated by Mercuric Salts"Heterocycles. 54. 629-633 (2001)
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[Publications] H.Takao: "Mercuric Triflate-TMU Catalyzed Hydration of Terminal Alkyne to Give Methyl Ketone under Mild Conditions"Chem.Lett.. 12-13 (2002)