2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓表面からの特異的薬物集積に基づく新規肝疾患製剤の開発
Project/Area Number |
12771382
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 孝洋 長崎大学, 薬学部, 助教授 (20237704)
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Keywords | 肝臓 / ラット / 肝疾患 / 腹腔内投与 / 粘性製剤 / 局所滞留性 / 吸収速度 / 薬物速度論 |
Research Abstract |
新規な投与方法により薬物を病巣部位に効率よく集積させるシステムを確立することを目的として、肝臓表面からの薬物吸収動態および肝臓移行性を様々な角度から検討してきた。円筒状のガラス製拡散セルを用いて、ラットの肝臓表面から薬物を直接投与することにより、吸収部位が肝臓表面のみに限定された実験系を最初の段階で確立した。有機アニオン系色素をモデルとして検討した結果、従来全く報告されていなかった肝臓表面からの薬物吸収は比較的良好であった。さらに、静脈注射と比較して、肝臓内薬物濃度が有意に上昇したことより、投与部位近傍における薬物濃度の持続化が期待できることが示唆された。また、モデル薬物の肝臓表面からの吸収に投与量依存性や輸送阻害剤の影響が認められなかったことから、特殊な輸送系の寄与は小さいものと推察された。一方、分子量の異なるデキストランを用いて、吸収性と分子量との相関性について考察したところ、分子量が肝臓表面からの吸収を規定しており、吸収される分子量の限界は7万程度であると推定された。したがって、薬物の物理化学的性質と肝臓表面からの吸収性との相関関係をこれまでに十分に整理しており、抗癌剤が肝臓表面から比較的良好に吸収されるものと予測している。 実際の臨床において、肝臓表面からの薬物吸収をコントロールし、肝臓表面近傍での局所滞留性や徐放性を向上させることは重要な課題である。そこで、製剤の適用面積や投与容量などの投与条件が、腹腔内の肝臓表面からの薬物吸収動態へ及ぼす影響を、クリアランス理論に基づいて系統的に解析した。さらに、肝臓表面適用製剤の生体膜付着性や粘性などの物理化学的因子を適宜調節し、薬物の高分子化修飾等による肝指向性増強の手法と組み合わせ、理想的な肝内分布が得られるような製剤設計の基本的指針を得た。
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Research Products
(1 results)