2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓表面からの特異的薬物集積に基づく新規肝疾患製剤の開発
Project/Area Number |
12771382
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 孝洋 長崎大学, 薬学部, 助教授 (20237704)
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Keywords | 肝臓 / ラット / 肝疾患 / 腹腔内投与 / 点滴速度 / 局所滞留性 / 吸収速度 / 薬物速度論 |
Research Abstract |
肝臓への薬物の新規投与形態として、肝臓表面への直接投与を提案し、基礎的知見を得てきた。そこで、臨床応用を想定した腹腔内投与において、特定部位からの薬物吸収を検討し、肝臓局所への薬物集積を最終的な目的として、肝臓表面または小腸近傍へ、モデル薬物であるphenolsulfonphthalein(PSP)の微量連続投与を行った。比較として、肝臓または小腸近傍への単回投与を行った。 PSPを肝臓表面(外側左葉)または小腸近傍へ微量連続投与した場合、2-コンパートメントモデルを想定した当てはめ計算より得られた一次吸収速度定数は、肝臓表面投与の方が、小腸近傍投与時よりも有意に大きな値を示した。一方、同じ部位へ容量を変えて微量連続投与を行った場合、肝臓表面、小腸近傍どちらの部位においても、容量の増加に伴い、最高血漿中濃度の低下が観察された。モデル解析によって得られた一次吸収速度定数は、低容量(短時間)投与時に有意に大きな値を示した。したがって、投与部位および投与容量によって、腹腔内からの吸収動態が異なることが明らかとなった。 腹腔内の部位を変えてPSPを微量連続投与または単回投与した場合、肝臓表面(外側左葉)および小腸近傍いずれの場合でも、一次吸収速度定数は微量連続投与時に大きな値を示した。単回投与を行う際、投与された薬液は、腹腔内へ広がり、腹腔内に存在する漿液によって希釈を受けるが、微量連続投与では、一定濃度の薬液が常に投与されるため、投与薬液の濃度は、投与時間内である程度維持できる。この投与薬液の濃度差によって、微量連続投与時に、より大きな一次吸収速度定数を示すと考えられる。また、微量連続投与によって、投与部位近傍からの吸収が達成できることが推測される。
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Research Products
(1 results)