2001 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジントランスポータの発現・機能解析とその制御による癌治療への応用
Project/Area Number |
12771402
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永井 純也 広島大学, 医学部, 助手 (20301301)
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Keywords | プロスタグランジン / プロスタグランジントランスポータ / organic anion transporter 1 / 肺癌由来培養細胞A549 |
Research Abstract |
近年・プロスタグランジン類(PGs)の新しい作用として抗腫瘍効果が見いだされ、新しい作用機構を有する抗腫瘍薬としての応用が期待されている。一方、最近PGsを基質として認識し、輸送するトランスポータ(PGT、QAT1、LST1など)が相次いで同定されている。しかし、これらトランスポータがPGsの組織細胞動態にどのように関与しているのかは不明である。初年度の研究では、PGsのin vivo体内動態解析を中心に進め、QAT1がPGsの全身動態に重要な役割を果たしていることを示した。本年度は、癌細胞由来の培養細胞を用いて、細胞レベルでのPGs輸送解析を行った。 細胞レベルでのPGs輸送解析には、制癌剤のスクーリニングに繁用されているヒト肺癌由来培養上皮細胞A549を用いた。まず、A549細胞におけるPGTの発現をRT-PCR法を用いて解析したところ、PGTmRNA由来と考えられるバンドを検出した。そこで、A549細胞における[^3H]PGE_1取り込みに及ぼす種々のトランスポータ阻害剤の影響について検討した結果、ブロモクレゾールグリーン(BCG)やスルホブロモフタレイン(BSP)の共存によって、[^3H]PGE_1の細胞内取り込みは顕著に増大した。一方、プロベネシドやパラアミノ馬尿酸(PAH)による影響は観察されなかった。BSPやBCGはPGT介在性輸送を強く阻害すること、およびプロベネシドやPAHはPGT介在性輸送にはほとんど影響しないことが報告されている。従って、本研究によって得られた知見は細胞内に取り込まれた[^3H]PGE_1あるいはその代謝物の細胞内からの排出にPGTが関与していることを示唆するものである。以上、BSPやBCGの併用が細胞内PG蓄積を増加させ、ひいてはPGsの薬理効果を高めることが期待できる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shiraishi, Y.et al.: "Effect of cisplatin on H^+transport by H^+-ATPase and Na^+/H^+ exchanger in rat renal brush-border membrane"Life Sci.. 67. 1047-1058 (2000)
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[Publications] Huang, Z.et al.: "Expression and function of P-glycoprotein in rats with glycerol-induced acute renal failure"Eur.J.Pharmacol.. 406. 453-460 (2000)
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[Publications] Yumoto, R.et al.: "Phamacokinetic interaction of cytochrome P450 3A-related compounds with rhodamine 123, a P-glycoprotein substrate, in rats pretreated with dexamethasone"Drug Metab.Dispos.. 29・2. 145-151 (2001)
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[Publications] Sasaki, Y.et al.: "Expression of chloride channel, ClC-5, and its role in receptor-mediated endocytosis of albumin in OK cells"Biochim.Biophys. Res.Commun.. 282. 212-218 (2001)
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[Publications] Nagai, J.et al.: "Role of megalin in the renal handling of aminoglycosides"Am.J.Physiol.. 281. F337-F344 (2001)