2000 Fiscal Year Annual Research Report
染色体DNA複製開始蛋白DnaAの活性調節因子の新規同定
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12771406
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒川 健児 長崎大学, 薬学部, 助手 (80304963)
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Keywords | DnaA蛋白質 / DNA複製開始調節 / 大腸菌 / ATPase / DNA複製伸長装置 / DNAポリメラーゼIII βサブユニット / AAAスーパーファミリー蛋白質 |
Research Abstract |
我々は最近、DnaA蛋白のATP加水分解活性が複製開始の負の調節に必要であることを提唱し、さらにその促進因子としてDNAポリメラーゼIIIのスライディングクランプを同定し、DNA複製装置が複製開始を負に制御すること(RIDA;regulatory inactivation of DnaA)、及び大腸菌内でDnaA蛋白の活性型の割合が複製開始に同調して周期的に変化することを示した。本年度は、細胞粗抽出液を用いた試験管内oriC DNA複製系におけるDnaA蛋白のATP結合型制御について検討した。この系においてもDnaA蛋白に結合したATPの加水分解がDNA複製に依存して促進されることが、oriC配列、DnaC蛋白、及びdNTPsへの依存性から明らかになった。またスライディングクランプ形成量もDNA複製を行わせることによって2.7倍に上昇することを示し、DNA複製とDnaA蛋白に結合したATPの加水分解の促進のカップリングがクランプ形成の促進の結果であることが示唆された。 DnaA蛋白はAAAスーパーファミリー蛋白と呼ばれる、共通の一次構造モチーフを持ったATPaseに含まれるが、我々はAAAモチーフBoxVIIIで高度に保存されている334位アルギニン残基がヒスチジンに置換したdnaA変異株を、低温感受性変異株として分離している。このDnaAR334H蛋白を精製し、生化学的解析を行った結果、ATP結合能は野生型と同等であるが、内在性ATPase活性が野生型に比べて著しく低下していること、またRIDAによるATP加水分解の促進も受けにくくなっていることが分かった。従ってDnaA蛋白のAAAモチーフBoxVIIIのR334残基は、内在性ATPaseとRIDAによるATP加水分解の両者に関与していることが考えられた。
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Research Products
(1 results)