2000 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム輸送体の調節機構と高血圧発症に対する影響
Project/Area Number |
12771410
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
五十里 彰 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (50315850)
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Keywords | マグネシウム輸送体 / 高血圧 / 調節因子 / 蛍光測定 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
生体内のマグネシウムは、電解質バランスの調節や糖尿病・高血圧症などと深く関わっている。細胞レベルでも、ミトコンドリアの呼吸機能、酵素のリン酸化など重要な生理機能に密接に関与していることがわかっている。しかしマグネシウムを運ぶ輸送体の実体や調節機構に関する知見は少なく、この輸送体の存在ですら明らかになっていない。我々はマグネシウム輸送活性に影響を及ぼす特異的なメッセンジャー機構を解明し、その輸送体をクローニングし、高血圧症などの疾病との関連を解明する目的で、様々な角度から研究を進めている。 本年度は、高血圧発症ラットにおけるマグネシウム量の変化を測定したが、血漿・尿中のマグネシウム量は正常ラットと同じであった。腎臓から調整したベシクルにおいて、グルコース輸送活性の上昇と、Na^+/K^+-ATPase活性の減少が観察された。高血圧発症ラットではプロテインキナーゼ活性が変化していると示唆され、細胞内遊離マグネシウム濃度がこれらの酵素活性の調節に関連していないか検討中である。 また、腎培養上皮細胞においてマグネシウム輸送活性に対する調節機構を調べたところ、細胞外ナトリウム濃度に依存したマグネシウム輸送と、非依存性の2種類の活性が観察された。ナトリウム依存性の輸送活性には、一酸化窒素とcGMPの関与していることがわかった。さらに細胞外多価カチオンのセンサーとして働くpolyvalent cation-sensing receptorが細胞外のマグネシウム濃度に感知して、ナトリウム非依存性マグネシウム輸送を促進するという大変興味深い結果が得られつつある。
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Research Products
(1 results)