2001 Fiscal Year Annual Research Report
易分解性を有する脂溶性ジカルボン酸エステルによる抗ガン効果の検討
Project/Area Number |
12771436
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小暮 健太朗 徳島大学, 薬学部, 助手 (70262540)
|
Keywords | アポトーシス / 抗ガン効果 / 活性酸素 |
Research Abstract |
本年度は脂溶性ジカルボン酸エステルのうち特にトコフェロールコハク酸(TS)を中心に研究実施計画(1,2)を実施し、以下に示す新規知見を得た。 1.TSによるアポトーシス誘導作用発現に必要な構造的因子の探索:TSのコハク酸の代わりに酢酸やニコチン酸を導入したものについて、アポトーシス誘導能を検討した結果、アポトーシス誘導能を有するのはTSのみであることが明らかになり、TSの末端カルボキシル基がアポトーシス誘導に重要であることが示唆された。さらに、それら誘導体は、TS誘導アポトーシスに影響を及ぼさなかったことから、TSの作用は特異的な受容体等を介さないことが推察された。 2.in vivoにおけるTSの抗ガン効果の検討:ヘアレスマウスの皮下に、培養黒色腫瘍細胞B16-F1を移植しガンモデルを確立した。このモデルに、異なる投与方法((1)溶液の腹腔内投与法及び(2)小胞化懸濁液の静脈内投与法)によりTSを投与した場合の腫瘍体積、体重及び生存日数の経日変化を追跡した。その結果、両投与法とも腫瘍成長抑制効果を示した。しかし、投与法(1)では効果が不安定であり、生存日数もコントロールと同じであったため、抗ガン効果が発揮されたとは評価し難い。一方、投与法(2)による腫瘍成長抑制効果は一定しており、コントロールに対して平均85%の非常に高い腫瘍成長抑制効果を示した。さらに、生存日数の有意な延長(延命効果)も認められたことから、投与法(2)によりTSが高い抗ガン効果を発揮したことが明らかになった。TSは、生体内でトコフェロールとコハク酸に無毒化されるため、長期滞留による副作用(正常組織への毒性)の危険性が低い。そのため、本研究で得ら恥た知見は、新規抗ガン剤の朋発のために非常に有益なものである。
|
Research Products
(1 results)