2001 Fiscal Year Annual Research Report
テロメア四重鎖DNAに作用する芳香族カチオン性ポルフィリンの開発
Project/Area Number |
12771437
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石川 吉伸 熊本大学, 薬学部, 助手 (00305004)
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Keywords | ポルフィリン / DNA / 四重鎖 / テロメア / テロメラーゼ / 抗ガン剤 / 融解温度 / 蛍光 |
Research Abstract |
(TTAGGG)_4を含む一本鎖オリゴマーを用い、カリウムイオン存在下でテロメア四重鎖構造をとらせたのち新規カチオン性ポルフィリンpPyTrPとmPyTTPを混合し、その作用を以下に示す方法により解析した。 A 紫外可視吸収の測定 合成したポルフィリンに、100mMの塩化カリウムを含んだバッファーに溶解させ四重鎖を形成させたテロメア四重鎖DNAを徐々に加え、紫外可視吸収の変化を測定したところ、2段階以上の反応が起きていることがわかった。 B 融解温度の測定 テロメア四重鎖DNAを100mMの塩化カリウムを含んだバッファーに溶解させ、そこにポルフィリンを添加し、昇温しながら295nmの吸光度を測定した。その融解温度曲線からそれぞれのポルフィリンに対応するTm値を求めたところ、pPyTTPは56℃となった。一方、mPyTTPは75℃となり、著しい四重鎖DNA安定化能を示した。 C 結合様式の解析 四重鎖DNAにポルフィリンを添加し誘起CDを測定した。pPyTTPとmPyTTPは共に正と負の両方のピークを示した。このことから誘起CDからはテロメア四重鎖DNAの安定化の機構を推測することはできなかった。 D 蛍光共鳴エネルギー移動の測定 テロメア四重鎖DNAとpPyTTP又はmPyTTPとの混合溶液の蛍光共鳴エネルギー移動の測定を行ったところ、どちらの場合にも強い蛍光エネルギー移動が観測された。このことから、どちらのポルフィリンも四重鎖DNAにスタッキングして結合することが示唆された。 以上、ポルフィリンの四重鎖DNAの安定化に対し著しい異性体効果が観測された。今後この異性体効果を詳細に調べていく予定である。
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Research Products
(1 results)