2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト大発作類似てんかん動物の開発-ウィスターラットにおける音刺激プライミングによる発作誘発-
Project/Area Number |
12771463
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯田 幸治 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (20304412)
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Keywords | てんかんモデル / ウィスターラット / 音刺激プライミング / 聴原性けいれん |
Research Abstract |
我々はこれまで、Crj:ウィスターラットコロニーからの突然変異体である、自発的に大発作を示すNo da eileptic rat(NER)に対し、幼若期からの音刺激プライミングによって高率かつ安定した発作誘発が可能であることを報告してきた。本研究の目的は、正常なウィスターラットをてんかんモデル動物として活用していくために、聴原性けいれんを最も高率に誘発させる最適刺激方法の検索、ならびに本動物を用いた行動薬理学的、電気生理学的研究を行うことである。すでに、3週齢からの音刺激プライミングを正常ウィスターラットに行ったところ20-40%の動物で発作が誘発できることを確認しているが、今年度は、前記の結果から発作を誘発できたラットをF1世代とし、これらを交配して得られたF2世代を用いて実験を行った。F2世代のラット8匹を用い、3週齢から音刺激(95dB,3kHz,30sec)のプライミングを開始し、29週齢まで週1回同様の音刺激を与えた。これらから発作型、週齢と発作誘発率および重症度との関係を検討した。その結果、まず発作型では、典型的な発作は、刺激後突然のwild running/jumpingを示し、次いで強直性あるいは間代性けいれんに移行、その後無動期を経て回復するものであった。発作の重症度は、部分けいれんか全身けいれんか、さらにclonusのみかtonic componentを含むか否かによって、NERと同様にaudiogenic response score(ARS)として6段階に分類可能であった。発作誘発率は週齢と共に増加し、14週齢以降は80%以上(83.3-100%)を維持した。発作重症度も週齢と共に増加し、これら誘発率および重症度はF1世代と比較し、より高率かつ重症化していた。以上より、音刺激プライミングによる聴原性けいれんの誘発方法は有用と考えられた。今後は、選別したF2世代から得られたF3世代に対し、上記と同様の検討を行い、さらに電気生理学的研究も加える予定である
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