2000 Fiscal Year Annual Research Report
Na^+排泄増大因子としてのK^+による腎カリクレイン-キニン系活性化の分子機構
Project/Area Number |
12771465
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 助手 (20296510)
|
Keywords | カリウム / 腎カリクレイン / ATP感受性カリウムチャネル / カルシウム / 接合尿細管 / カフェイン |
Research Abstract |
本研究は高血圧発症の原因遺伝子を同定することを最終目標として,まず正常ラットにおけるK^+による腎カリクレイン(KK)分泌増大機構について腎切片および単一尿細管を用いて検討を行った。二般的に高K^+溶液あるいはK_<ATP>ブロッカーの添加は細胞に対し脱分極反応を引き起こすことから,脱分極以降に起こり得る以下の事象について検討を行うこととした。 1.膜電位の上昇による電位依存性Ca^<2+>チャネルからのCa^<2+>の流入 2.細胞内Ca^<2+>の上昇に反応した小胞体からのCa^<2+>の放出 3.細胞内骨格蛋白による分泌小胞の細胞膜への輸送 K^+による腎KK分泌増大作用が電位依存性Ca^<2+>チャネルブロッカーのverapamilの存在下で抑制きれた。2.K^+添加30分前からEDTA,Ca^<2+>フリー溶液に浸とうした腎切片では,K^+による腎KK分泌増大作用は完全に消失したが,10分前からの処理では腎KK分泌は完全に抑制されなかった。また,30分前からEDTA,Ca^<2+>フリー溶液に浸とうした腎切片に30mMカフェインを添加した場合,Ca^<2+>存在下でのカフェインにある腎KK分泌増大量に比較して有意に減少していた。 従ってK^+による腎KK分泌増大作用には細胞外からのCa^<2+>流入および小胞体のカフェイン感受性チャネルからのCa^<2+>放出が関与することが示された。3.については現在検討中である。 また,グルコースの添加によりK^+と同様,添加10分後からの腎KK分泌の一過性の増大が認められた。 以上の結果から,腎接合尿細管のKK分泌細胞にCICR機構,膵β細胞でのインスリン分泌増大と同様の機構が存在することが示唆された。今後は免疫組織化学的に電位依存性Ca^<2+>チャネル,K_<ATP>,リアノジン受容体の接合尿細管細胞での局在について調べ,さらに,若齢自然発症高血圧ラットにおけるK^+による腎KK分泌機構について同系正常ラットと比較検討する。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 藤田朋恵: "Involvement of the renal kallikrein-kinin system in furosemide-induced natriuresis in rats"Japanese Journal of Pharmacology. 84. 133-139 (2000)
-
[Publications] 鈴木立紀: "Involvement of the renal kallikrein-kinin system in K^+-induced diuresis and natriuresis in anesthetized rats"European Journal of Pharmacology. 399(2-3). 223-227 (2000)