2000 Fiscal Year Annual Research Report
看護領域における医療事故防止対策のためのインシデント情報の有効利用に関する研究
Project/Area Number |
12771482
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
布施 淳子 山形大学, 医学部, 助手 (20261711)
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Keywords | 看護管理 / 医療事故防止 / インシデント報告 / 情報の共有化 |
Research Abstract |
今年度は、各病院が独自に作成・管理するインシデントレポートの情報を他病院間で共有化する可能性を模索するため、北海道・東北地区の病床数300床以上の総合病院188施設を対象とした予備調査を実施した。 有効回答は76件(40.4%)であった。病院全体としての医療事故対策委員会は、90.8%の病院で設置されていた。委員会設置の時期は1999〜2000年が71.6%と最も多く、文部省・厚生省等から医療事故対策の通達があった時期に一致していた。看護部門独自の医療事故対策委員会の設置率は73.3%であり、病院看護部の93.4%がインシデント情報を収集していた。インシデント情報は看護部門共通の情報源の1つであることが推測された。 看護管理者が他病院の医療事故対策を知る機会があると回答したのは78.4%であり、一方、他病院のインシデント情報を見る機会があると回答したのは23.0%であった。他病院のインシデント情報を事故対策に活用したいとしたのは87.7%で、その情報は利益になるとしたのは91.7%であった。看護管理者にとっては他病院の医療事故対策の情報を入手することは比較的容易なことであり、自分たちが対策を講じるときに参考にしたいと考えていた。また、ほとんどの看護管理者は他病院のインシデント情報を活用したいと考え、管理者にとって利益になると捉えているが、それを公の情報として入手することが困難な現状がうかがえた。 インシデント情報の共有化に関して、全国の病院看護婦のインシデント情報を共有化する場合、実際に参加すると回答したのは76.5%であった。その一方、本予備調査で、実際にインシデント報告書を参考提出したのは35.1%と低かった。看護管理者は、自病院のインシデント情報を公開することに関して若干の抵抗があることが推測された。
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