2000 Fiscal Year Annual Research Report
夫婦間暴力における地域での支援体制づくりに関する研究
Project/Area Number |
12771491
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
長谷川 美香 福井医科大学, 医学部, 講師 (90266669)
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Keywords | 暴力 / 女性 / 相談 / 夫婦 |
Research Abstract |
地方都市での夫婦間暴力の発生状況とその関連要因について明らかにすることを目的に、北陸のF県M町在住の子供を保育園・幼稚園に通園させている母親142名を対象に、自記式のアンケート調査を実施し、以下のことが明らかとなった。 本調査では暴力を「身体的暴力」「言葉の暴力」「性的暴力」「社会的暴力」「物の破壊」「経済的暴力」の6項目とした。1種類以上の暴力を経験していた女性は51.1%で、2人に1人が現在の夫・パートナーからの暴力を経験していた。もっとも多かった行為は「性的暴力」の26.1%、少なかったのは「経済的暴力」の2.1%であった。「身体的暴力」は東京都や札幌での調査結果よりも少なかったが、「性的暴力」は本調査の方が高かった。しかし暴力の有無と年齢、職業、家族構成、女性の就業との間には関連が見られなかった。暴力に関する相談希望では、6割の女性が相談を希望し、相談相手(複数回答)には友人・知人が約8割と多く、医師や保健婦・士は1割と少なかった。誰に相談してよいのかわからない、相談相手がいないという回答も、少数見られた。さらに、暴力を受けた経験者の方が非経験者よりも、相談希望者が有意(p<0.05)に少なかった。今後は相談機関および保健婦・士等の専門職のPR、プライバシー保護と安心して相談できる場の整備などが必要と考える。夫・パートナーからの暴力を経験した71人中、「1種類」の暴力を経験した者は54.9%、「2種類以上」の暴力を経験した者は45.1%であった。「2種類以上」経験者の方が「1種類」経験者よりも、相談希望者が有意(p<0.05)に少なかった。「2種類以上」経験者は「1種類」経験者よりも「結婚または同居期間」が有意(p<0.05)に長かったが、両群間の年齢に差がなかったことから、より若年での結婚または同居開始が暴力の重複を誘発したのではないかと考える。
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