2001 Fiscal Year Annual Research Report
病棟における慢性疾患患児と看護者との相互作用に関する心理学的研究-慢性疾患患児が肯定的な自己イメージを形成するための看護者の役割とは-
Project/Area Number |
12771513
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Research Institution | Kure University |
Principal Investigator |
片山 美香 呉大学, 看護学部, 講師 (00320052)
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Keywords | 慢性疾患患児 / 自己イメージ / 看護者 / 保護者 / 病棟 / 相互作用 |
Research Abstract |
慢性疾患により入院経験のある患児を対象にインタビュー調査をした結果、自血病、膀胱ガンなどの悪性度の高い病気では、本人にとって治療が非常につらいこと、さらにつらい入院期間が長期にわたることから、自分自身の病気のことをどのように理解しているかということが自己イメージの形成に大きく影響していることが示された。発症とともに病名を告知された思春期の患児は看護者からつらい治療の意味などを聞きながら前向きに病気と向き合うことができていたが、保護者の希望等により患児自身に病名が告知されず治療が続けられ、20歳になったということで病名告知を受けた患児は、病名を初めて知らされたショックと先行きの不安とで自分の将来を改めて考え直さざるを得ない危機的な状況に陥り、医療者に対してやや不信感を抱いていた。実際、看護者を対象に病棟における患児との看護上の困難事例について調査をしたところ、病名告知に関連して、患児や保護者が病気を受容できないために治療が進まないというケースを困難であると認知しており、患児や保護者に対して病気の受容を促す看護の重要性が示された。また、保護者に対して実施したインタビュー調査からは、治療に関する詳しい説明などを看護者に求めたいが、じっくりと看護者が患児や保護者に向き合ってくれる時間が少ないこと、忙しそうだから申し訳なくて声がかけられなかったなど、看護者とのコミュニケーションに関する不満足さが多く語られた。慢性疾患患児が肯定的な自己イメージを形成しつつ治療を前向きに受けるための看護者の役割としては、励ますことだけに留まらず、患児に理解できる最大限の説明を行い納得したうえで患児の年齢や理解力に合ったレベルで自身の病気を認識できるように援助すること、そしてそれをさらに円滑にするために保護者にも十分な説明を行うとともに、気軽に声をかけてもらえる看護者自身のゆとりの充実が望まれることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)