2000 Fiscal Year Annual Research Report
集中治療室で死を迎える患者とその家族のケアを困難にする要因と看護介入に関する研究
Project/Area Number |
12771533
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
高野 里美 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助手 (60315702)
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Keywords | 集中治療室 / 死 / 患者・家族のケア / 看護経験年数 |
Research Abstract |
集中治療室で死を迎える患者・家族のケアを困難にしている要因に関し、全国大学附属病院の集中治療室看護婦・看護士に自記式調査用紙による質問調査を行った。結果は以下の通りである。 1.回答者の背景 全国大学付属病院79施設に調査依頼し回収数50施設で回収率63.3%だった。回答者数は1210名。平均年齢は無回答を除く1203名が29.97歳(SD=6.53)最高年齢59歳、最低年齢19歳。平均看護経験年数は無回答を除く1206名が8.61年(SD=6.35)最高経験年数39.6年、最低経験年数4ヶ月。性別は女性が1135名、男性が47名、無記入28名だった。 2.質問に対する回答結果 「集中治療室で死を迎える患者やその家族のケアは、一般病棟に比べ困難であると思いますか」の問いで、経験年数5年未満と5年以上でχ2検定したところ、5年以上の者が有意に「はい」の回答が多かった。(P<0.05)「現在勤務している病棟は、死を迎える患者とその家族のケアを行うのに適していると感じますか」の問いでは、経験年数5年未満と5年以上の2群と、10年未満と10年以上の2群で、それぞれχ2検定を行ったところ、どちらも経験年数が高いほうが、有意に「適していない」と回答している者が多かった。(P<0.001)「現在勤務している病棟は死を迎える患者とその家族のケアを行う環境をもっと整えることができると感じますか」の問いでは、経験年数5年未満と5年以上の2群と、10年未満と10年以上の2群で、それぞれχ2検定を行ったところ、5年未満と5年以上で(P<0.01)、10年未満と10年以上で(P<0.001)有意差があり経験年数が低い方が「できる」の回答が多かった。「患者が死を迎えるかえる過程で、患者の意思が尊重されていると感じますか」の問いでは、経験年数5年未満と5年以上でχ2検定したところ、5年以上の者が有意に「尊重されていない」と、回答している者が多かった。「死を迎える患者とその家族のケアについて、看護婦・看護士が医師とよく話し合えると感じますか」の問いでは、経験年数による差はなかった。以上、看護経験年数が多いほど、ケアに関し困難を感じている傾向が明らかになり、その理由に関して現在分析を進めている。
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