2000 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈内バルーンパンピング装着中の安静と生活行動に関する研究
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12771544
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 智子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60317972)
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Keywords | 大動脈バルーンパンピング / 行動制限 / 活動度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年使用頻度が増加傾向にある大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping;IABP)を装着中の患者の生活上の制限を見直し、血行動態を評価しながら可能な活動度を検証することで、生活行動の拡大の一助にすることにあった。急性期においては、安全性や疾患の治療上、安静を重視する傾向にあるためである。 今年度の目標としては、文献検索や施設見学等により、IABP装着中の患者管理の実態を予備調査することを挙げ、従来安全と考えられている生活行動を把握することとした。調査の結果、生活の基本体位は床上臥床(仰臥位・側臥位)であり、体位変換が認められている点に施設差は認められないが、カテーテルの屈曲閉塞やカテーテル挿入部の出血等の合併症に影響を及ぼすベッドアップについては0°〜60°と施設間の差を認めた。また、施設内においても、医師の治療指針に基づきその相違を認めた。実際の看護管理としては、患者の身体的苦痛(腰痛やIABP挿入下肢痛等)の緩和や睡眠を優先し、行動制限を強制しない傾向を認めたため、管理方法の一貫性に欠けている、という結果であった。諸外国との違いとしては、日本においては医師の指示がない生活行動については援助の範囲を越えない傾向にあるため、安全性が高い反面、活動度の低い生活を強いる傾向にあると言える。看護判断で活動度を具現化するだけの根拠に乏しく、看護独自の判断指標が明確でない点も問われている。 そこで、今回の研究としては準実験的な研究を挙げていたが、その前段階として、次年度はIABP装着中の看護管理の実態を探求し、活動度の高い援助における血行動態の評価から、その安全性を検証するとともに、安全性を裏付けする看護の判断指標を検討していく必要がある。
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