2000 Fiscal Year Annual Research Report
女性高齢者における身体活動量と骨代謝マーカーとの関係
Project/Area Number |
12780014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 淳 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (80260529)
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Keywords | 女性高齢者 / 身体活動量 / 日常歩行数 / 骨吸収マーカー / デオキシピリジノリン / ピリジノリン |
Research Abstract |
本年度は女性高齢者20名を対象として,日常歩行数調査,尿中デオキシピリジノリン・ピリジノリン測定を行った。我々の先行研究(平成9〜10年度,奨励研究)において,加齢に伴う日常活動量の低下がこれらの骨吸収マーカーの上昇をもたらすことを報告したが,本研究の対象者を加えて例数を増やすことによって重回帰分析を行った。その結果,歩行数低下によってマーカー値が上昇すること,閉経後年数の経過に伴いマーカー値は低下することが確認された。これらの結果から,閉経に伴う女性ホルモン消失による骨吸収亢進は年数の経過とともに抑制されるが,加齢に伴う身体活動量低下という骨吸収亢進要因が新たに加わるため,高齢者では結果としてマーカーの高値が持続するものと思われた。 本年度に得られた新たな成果を以下に示す。女性では70歳代で身体活動量が急速に低下し,身体脆弱性が亢進することことが知られている。そこで,どの程度の身体活動量を維持すれば,脆弱性を抑制できるか検討するため,70歳代の女性を対象として,歩行数を層別化し,尿中デオキシピリジノリン・ピリジノリンおよび踵骨骨量(超音波法によるStiffness)を比較することによって,歩行数の多少が骨組織,軟骨組織,結合組織の脆弱性に及ぼす影響について検討した。歩行数平均値5000歩/日群(下位群),7000歩群(中位群),10000歩群(上位群)の3群(年齢,閉経後年数に差なし)で比較した結果,下位群ではマーカーが有意な高値,Stiffnessが有意な低値を示した。また,中位群と上位群間では差は認められなかった。これらの結果から,下位群と中位群の間の歩行数,すなわち5000〜7000歩/日の歩行によって骨組織等の脆弱性が抑制される可能性,それ以上の歩行数ではマーカーは一定レベルに維持されている可能性が示された。なお,疾患群の測定は13年度に予定している。
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