2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780039
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
只野 ちがや 東邦大学, 医学部, 助手 (40261094)
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Keywords | 活性酸素 / 筋疲労 / DNA損傷 / ラット / 8-hydroxy-deoxyguanosine / 阻血 / 誘発刺激 / 筋電図 |
Research Abstract |
本研究では,拘束筋萎縮モデルによる検討に先立ち,筋の抗疲労性評価に用いる筋疲労モデルの評価と阻血による疲労への影響を検討することを目的とした.ラット後肢筋群の強縮刺激に対する疲労性について,筋電図学的およびDNA酸化傷害の面から検討した.実験にはwistar系雄性ラット(340-405g)を用い,麻酔下で座骨神経より最大上刺激(dur:300μs,60Hz,150ms)にて足底屈を誘発した.スプリング張力式装置を用いて3秒間隔で1時間反復した(Control).この条件刺激後の回復相に最小M応答刺激(dur:300μs,40Hz,75ms)を導入したLengthening(L)試行と,さらにこの条件に膝窩動静脈の阻血(5分間隔)を合わせたLengthening+Occlusion(LO)試行を行った.反復試技実行中とその前後の単縮測定時の全過程において,収縮張力,腓腹筋表面より誘発筋電図と組織血流量を無侵襲に導出した.全ての試行後に被験肢および対側肢の腓腹筋を摘出し,得られた筋ホモジネートより抽出したDNA中の8-OH-dGをHPLC法により定量し,ROSによるDNAの酸化傷害を疲労条件と合わせて検討した.反復試技後の単縮張力低下,RT(1/2)の延長,M応答積分筋電図減少,筋電持続時間の延長が全群でみられた.とくにLO群では著しいRT(1/2)の延長が認められ,阻血の影響が筋疲労の大きさに現れた.反復試技30分経過時と終了直前での強縮時の張力積分値は全群で減少する傾向を示した.また,回復相の張力積分値はControl群とL群で差がなかったが,8-OH-dG量はControl群よりL群とLO群で大きく増加した.これらのことから,筋全体の疲労条件下における軽度な伸張性収縮負荷がROSによるダメージの増大をもたらし,さらに阻血はこの現象をさらに増長させるものであることが示唆された.したがって本モデルは筋萎縮による機能変化を検討する上で有用な知見を与えるものと考えられた.
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