2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋における力発生機構の多様性と発育発達に伴う変容
Project/Area Number |
12780044
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
後藤 勝正 (山下 勝正) 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70239961)
|
Keywords | 速筋線維 / 遅筋線維 / stiffness / crossbridge / motility / troponin / atrophy / force generation |
Research Abstract |
本研究では、遅筋線維と速筋線維におけるクロスブリッジの動きの違い、およびミオシンとアクチンの相互作用による生じる滑り力発生機構の違いを明らかにすることを目的とし、2年計画で実施した。アクチンとミオシンとの相互作用の量を反映すると考えられているスティッフネスと張力の関係を検討し、遅筋線維と速筋線維における張力発生機構に差異が存在する可能性が示された。また、張力発生やスティッフネスに対してトロポニンC(TnC)がいかなる影響を与えているかを、遅筋線維と速筋線維のTnC入れ替え実験を行い検証した結果、TnCにより筋線維の張力発生機構の一部は修飾されるものの、両筋線維に存在する固有の張力発生機構に顕著な変化は認められなかった。さらに、クロスブリッジの形成に違いがあるかについて、遅筋線維と速筋線維に対して高分子化合物を用いて筋線維をCompressすることで、縦方向のクロスブリッジの力学的特性を比較検討した。その結果、遅筋線維に比べ速筋線維では細胞レベルで評価されるクロスブリッジの硬度は低いとものであった。また、ミオシンクロスブリッジの可動範囲について、精製したミオシン分子およびアクチン分子を用いたin vitro Motility Assay系により検討した。その結果、in vitro Motility Assay系では速筋および遅筋から調整したミオシン分子の挙動はATPase活性の差異によるもの以外に検出されなかった。また、ミオシン分子の表現型を遅筋型から速筋型に移行させたヒト萎縮遅筋線維を用いた検討により、収縮タンパクの発現変化を伴わない収縮力の低下と収縮速度の上昇が認められ、収縮蛋白により構成される筋線維の3次元構造が遅筋線維と速筋線維では異なることが示唆された。以上の結果より、発育発達に伴う筋線維タイプ構成の移行期には、筋力発揮に際し十分な配慮が必要であると考えられた。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Yamashita-Goto, K., Okuyama, R., Honda, M., Kawasaki, K., et al.: "Maximal and submaximal forces of slow fibers in human soleus after bed rest"Journal of Applied Physiology. 91巻・1号. 417-424 (2001)