Research Abstract |
まず,高校運動部員の部活動ストレッサーに対する対処方略について検討するため,平成12年9月に1428名の高校運動部員を対象に質問紙調査を行った.調査内容は,5部活動ストレッサー(指導者,練習時間,競技力,怪我・病気,仲間)に対する対処,及びストレス反応であった. その結果,問題解決思考,諦め,肯定的思考,回避的思考,問題解決行動,問題回避行動,カタルシス,気晴らしの8下位尺度からなる対処方略尺度が作成された.これら対処方略の採用の割合はストレッサーにより異なることが示された.全般的にストレッサーを多く経験している部員は様々な対処方略を多く用いる傾向がみられた.また,競技歴が長い部員ほど関与的な対処(問題解決思考,肯定的思考,問題解決行動)を多く用い,それらにはストレス反応の表出を抑制する効果がうかがえた. 次に,高校運動部員の部活動ストレッサーに対する認知的評価について検討するため,平成12年11月に818名の高校運動部員を対象に質問紙調査を行った.調査内容は,部活動ストレッサー(競技力,仲間),認知的評価,対処方略,ストレス反応であった.質問紙は2種作成され,競技力ストレッサーについて回答する部員(450名)と仲間ストレッサーについて回答する部員(368名)とがあった. その結果,ストレッサーに対する認知的評価として,コントロール可能性と影響性の2因子が抽出された.次に,認知的評価と対処方略,ストレス反応との関係を検討した.競技力ストレッサーにおいては,関与的対処はコントロール可能性と,回避的対処は影響性とそれぞれ関連があり,ストレス反応は両方の認知的評価の影響を受けていた.また,仲間ストレッサーにおいては,関与的対処は両方の認知的評価と関連があり,ストレス反応は影響性の影響を受けていた.
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