2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の歩行時における"つまずき"防止のための基礎的研究
Project/Area Number |
12780049
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 広徳 広島工業大学, 工学部, 助教授 (30235387)
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Keywords | 高齢者 / つまずき / 転倒 / 下腿部組成 / 歩行能力 |
Research Abstract |
近年,我が国は高齢社会の進行に伴い介護を必要とする高齢者が急増している。そのような中,歩行能力低下によるつまずきが原因となる転倒が問題の一つとなっている。これまで歩行特性と大腿部筋力,筋量や下腿部筋力との関係の加齢変化に関する研究は数多くみられるが,下腿部組成との関係についての研究は比較的少ない。そこで本年度は高齢者および若年者における歩行特性と下腿部組成の評価を行い,両者の加齢変化について検討した。下腿部総筋横断面積(足背屈筋+足底屈筋)において,後期高齢者が若年者および前期高齢者より有意に小さかった(p<0.001)。下腿部筋群を機能的な面から足背屈筋と足底屈筋に分けて検討した結果,足背屈筋横断面積では,前期および後期高齢者が若年者より有意に小さく(P<0.001),足底屈筋横断面積では,後期高齢者が若年者および前期高齢者より有意に小さかった(p<0.0001)。以上の結果より下腿部筋は加齢に伴い,足背屈筋が足底屈筋より先行して減少する可能性が示唆された。歩行特性においては,歩行速度で後期高齢者が前期高齢者および若年者より有意に遅かった(p<0.001)。歩幅では各グループ間に有意な差がみられ(p<0.001),後期高齢者が最も小さく,若年者が最も大きかった。歩調では後期高齢者および若年者が前期高齢者より有意に小さかった(p<0.05)。歩行速度と各筋横断面積との間には後期高齢者のみに有意な相関関係がみられた。この結果は加齢が進行すると歩行の際,下腿部筋への依存度がより高くなることを示唆している。また,"下腿部筋量がどの程度減少すると歩行速度に影響を及ぼすか"という点について検討した結果,足底屈筋面積が50cm^2付近まで減少すると歩行速度に影響を及ぼすことが示された。 本年度に実施予定であった高齢者における足背屈筋のトレーニングは現在も継続中なので,その効果についてはまだ明らかになっていない。
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