運動のプランニングにおける大脳基底核の役割に関する研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12780051
• Research Institution: The Institute of Physical and Chemical Research
• Principal Investigator: 太田 憲 理化学研究所, 運動系システム制御理論研究チーム, フロンティア研究員 (10281635)
• Keywords: 大脳基底核 / 運動プランニング / パーキンソン病患者 / クランク回転運動 / 手先力

Research Abstract

近年,学習理論における強化学習の発展がみられ,様々な工学的応用が検討されている.一方,大脳基底核にドーパミン性の出力を送る黒質のドーパミンニューロンが,報酬と行動の強化に関連していることは,電気生理学や解剖学の研究によって古くから知られている.しかし,それらは単に報酬に応答するのでなく,予想外の報酬に対して起こることが示され,その振る舞いは強化学習理論におけるTD誤差の応答そのものであり,近年大脳基底核はその学習の場として注目を浴びている.
そこで本研究では,被験者(パーキンソン病患者と健常者)にクランク回転運動課題を行わせ,その学習過程を解析する.このときパーキンソン病患者と健常者との比較から,生体運動のプランニングにおける大脳基底核の役割を検討した.
手先力の解析より,健常者と比較して,手先力は繰り返し学習の始めから,内向き(クランク回転軸中心向き)を示していた.このことはパーキンソン病患者は運動のプランニング自体,もしくは,インピーダンス等の異常から,手先の目標軌道がそれてしまうことが考えられた.

Research Products

• [Publications] K.Ohta, M.Svinin, Z.: "Analysis of human movement in crank turning task"Abstract of the Progress in Motor Control III meeting. 36 (2001)
• [Publications] M.Svinin, 太田憲, 羅志偉, 細江繁幸: "クランク回転作業を用いた生体運動の一考察"第40回計測自動制御学会学術講演会. 107C-3 (2001)
• [Publications] 太田憲, M.Svinin, 羅志偉, 細江繁幸: "拘束条件下でのヒトの運動の最適軌道"計測自動制御学会 第2回システムインテグレーション部門学術講演会. 67-69 (2001)