企業情報データベースを利用した事業所サービス業の資本関係と配置に関する研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12780060
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 加藤 幸治 広島大学, 文学部, 助手 (10294498)
• Keywords: 経済地理学 / 事業所サービス / 企業グループ / 企業立地 / 企業情報

Research Abstract

対象企業グループの事業所サービス子会社・関係会社の時空間的展開を捉えていく上での,基本的な作業として,各種の「企業情報データベース」の比較検討をまずおこなった.「企業情報データベース」においては,企業における事業所配置の展開を探っていく上で重要な企業の事業所データが,必ずしも統一的に示されていない場合が多い.とりわけ,「主要事業所」のような形で示されているデータが,すべての事業所である企業もあれば,ほんの一部に過ぎない場合もあり,これら資料から直接的に企業の事業所配置の動向を把握することは必ずしもできないことが明らかになった.
ただし,本研究の対象である事業所サービス業が「外部化」によって設立されるような場合は地域子会社として設立されることが多く,子会社自身が全国的な支店・支所の配置をしていない場合も多い.それを前提とすれば,事業所サービス子会社・関連会社の展開を把握する上で,有効とみなせる資料もいくつか存在する.とくに対象を事業所サービス子会社のうちの情報サービス子会社など,特定の業種に限定すれば,特定業種の名簿を「企業情報データベース」として利用することは有意義なものであることが分かった.
それらを用いて,対象企業グループ全体の企業名簿作成を行い,子会社の時空間的展開を把握した.対象企業グループでは1990年代前半(91-92年頃)および90年代末(99-2000頃)に積極的な子会社の設立がみられた.とりわけ前者においては事業所サービス系地域子会社の設立が盛んであった、しかしながら,それらは90年代後半には統合・再編されつつある.事業所サービス子会社の地域的展開は,予測されたとおり,企業グループの戦略によって大きく左右されるものであることが実証的に明らかとなった.