2000 Fiscal Year Annual Research Report
日向灘沿岸地域における完新世の海岸環境の変化に関する研究
Project/Area Number |
12780070
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大平 明夫 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (00262824)
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Keywords | 完新世 / 海水準変動 / 沖積低地 / 日向灘 / テクトニクス |
Research Abstract |
今年度は,小規模な溺れ谷低地が典型的に発達する宮崎県北部の延岡市・日向市付近の海岸沖積低地を研究地域として,地形・地質に関する調査を行った.米軍撮影4万分の1モノクロ空中写真を判読し掘削地点を選定した後,合計14地点においてハンドオーガーによるボーリング調査を実施して,完新世堆積物の観察と採取を行った.その結果,完新統上部は,貝殻を多数含む潮間帯(干潟)堆積物を陸成(氾濫原・低湿地)堆積物が覆う構造であることが判明した.さらに,2地点のボーリングコアの潮間帯堆積物最上部より採取した巻貝(ヒメカニモイガイ),二枚貝片,木片など合計4点について,加速器質量分析(AMS)法による放射性炭素年代測定を実施した.その結果,同位体分別を補正した^<14>C年代で,5750±40〜3200±40BPを示した.ボーリング地点の地盤高を延岡市発行の2500分の1都市計画図(独立標高点)で読みとり,海成層上限高度の標高(年代)を求めると,約0.5m(5750BP),約1.0m(3200BP)となる.日向市細島検潮所の平均最大潮位差1.5mを考慮すると,延岡〜日向付近における完新世中期の相対的海水準は,現海面付近か,わずかに低い位置にあったことが明らかとなった.このことは,宮崎平野(青島)における完新世中期の相対的海水準が,最高で約8mに達するのと対照的であり,日向灘沿岸地域の完新世テクトニクスに地域性(南高北低傾向)があることが指摘できる.
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Research Products
(1 results)