2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期における夫婦の関係性とソーシャルネットワークに関する実証的研究
Project/Area Number |
12780084
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
宇都宮 博 九州女子大学, 家政学部, 講師 (10320152)
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Keywords | 高齢期 / 夫婦 / 関係性 / ソーシャルネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は,高齢期の心理的適応にとって重要な要因として着目されているソーシャルネットワークが,配偶者との関係性の様態によっていかに異なるかを実証的に検証することである。 一年目にあたる平成12年度は,はじめに理論的検討として,高齢期のソーシャルネットワーク研究の動向を整理し,とくに夫婦の関係性との関連を取り扱った研究の現状と問題の所在を明確化した。その上で,以下の二つの調査研究を行った。なお,調査方法はいずれも質問紙法による。 一つは夫婦の関係性ステイタスの観点(配偶者の「存在意味」と「関与」のあり方により類型化)から,高齢者の孫との関係と心理的適応の関連性を検討した。配偶者の存在の意味づけが肯定的であっても,その要因が物質的・道具的次元にとどまっている表面的関係性と,人格的次元から結婚生活の継続を強く望んでいる人格的関係性とで異なる影響力が推察された。 次に,主体的なソーシャルネットワーク形成の基盤と考えられるアイデンティティと,結婚生活に対するコミットメントとの関連性について検討した。分析の結果,高齢期夫妻におけるアイデンティティ発達の相互性は示されなかったが,自分自身のコミットメントとともに,配偶者のコミットメントもアイデンティティ発達にとって重要な要因であることが示唆された。
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