2001 Fiscal Year Annual Research Report
腸管特異的ビタミンD受容体発現領域の遺伝子多型を用いた早期骨粗鬆症予防法の確立
Project/Area Number |
12780095
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
久保田 恵 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (80254564)
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Keywords | 骨粗鬆症 / ビタミンD受容体遺伝子多型 / 健常日本人女性 / カルシウム摂取 / 腸管特異的転写因子:Cdx-2 |
Research Abstract |
【目的】骨密度規定因子は大きく遺伝因子と環境因子とに分けることができる。これまで我々はVDR遺伝子のプロモーター上に腸管特異的転写因子であるCdx-2と結合するcis-element ; hVD-SIF1が存在し、腸管におけるVDRの特異的な発現を調節していることを明らかにした。更にこのhVD-SIF1領域には遺伝子多型が存在し、Cdx-2とhVD-SIF1との結合能に違いがあることから、VDRを介した腸管からのCa吸収に影響を及ぼす可能性が示唆された。そこで本研究ではVDR遺伝子のhVD-SIF1における多型別にカルシウム(Ca)摂取量との関連性を比較し、遺伝素因マーカーとしての有用性を検討した。 【対象と方法】20歳代女子大学生109名を対象とする。VDR遺伝子多型は未梢血白血球よりDNAを抽出し、PCR法により本領域を増幅後、ダイルクトシークエンス法を用いて塩基配列を決定し、hVD-SIF1領域がCACAAから始まるものをWT型、CACAgへ変異したものをMT型、そしてWT型とMT型をヘテロに有するヘテロ型に分類した。更に各群をCa所要量600mgより摂取量の多い群(A群)と少ない群(B群)にわける。更にB群ともにCa付加食群と非付加食群に分類する。Ca付加食群には、(市販のカルシウム剤(Ca : Mg=2:1)の摂取でカルシウムを600mg/日付加した。1年後Ca付加食群と非付加食群の両群に対して超音波骨密度測定機アキレスによる腫骨骨密度及びBIA法による体脂肪率測定(タニタTBF-102)、環境因子に関しては現在の栄養摂取量・運動習慣調査、過去の運動習慣、ダイエット経験の有無、牛乳摂取習慣調査を行い、遺伝素因別にCa摂取効果を検討した。 【結果】(1)VDR遺伝子型の頻度はM多型はMM型12.4%、Mm型49.7%、mm型37.9%、VD-SIF1多型はWT型17.6%、MT型30.7%、ヘテロ型51.6であった。(2)A群では踵骨骨密度とVDR遺伝子多型群間において有意差は認められなかったが、B群では踵骨骨密度と各VDR遺伝子型多型の関連はWT>ヘテロ>MTの順で有意に高かった。(3)1年後の踵骨骨密度変化率はA群、及びB群のCa非付加食群ではVDR遺伝子多型群間において有意差は認められなかったが、B群のCa付加食群ではMT>ヘテロ>WTの順で踵骨骨密度変化率はMTにおいて有意に高かった。 【結論】よって、未閉経女性ではVDR遺伝子hVD-SIF1多型により遺伝素因リスクの高いMT型をスクリーニングし、Ca摂取量が600mg以上になるよう適切な栄養指導を行うことは、骨粗鬆症の予防に有効であると考えられる。
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[Publications] M.Kubota: "Association between two types of vitamin D receptor gene polymorphism and bone status in premenopausal Japanese women"Calcified Tissue International. (68). 68. 16-22 (2001)
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[Publications] H.Arai: "The polymorphism in the caudal-related homeodomain protein Cdx-2 binding element in the human vitamin D receptor"J Bone Miner Res 16 (7). 16(7). 1256-1264 (2001)