2000 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質過酸化物によるラット胎児脳培養細胞に対する老化要因の追求
Project/Area Number |
12780099
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
川上 美佐子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (10231268)
|
Keywords | リン脂質過酸化物 / ラット胎児脳細胞 / PC-12細胞 / 細胞骨格 / チューブリン |
Research Abstract |
本研究の主題は、リン脂質過酸化物(LPO)の細胞老化への影響をラット胎児脳細胞を用いて検討することである。ここでは老化は、細胞骨格機能の低下に伴い起こると考えている。そこで、LPOの細胞骨格への影響を以下の順で明らかにすることを計画した。 I.調製したLPOの同定 II.細胞骨格タンパク質(Tb)へのLPOの影響 III.培養細胞へのLPOの及ぼす影響 IV.ラット胎児脳細胞へのLPOの及ぼす影響 現在の進ちょく状況を以下に示す。 I.調製したLPOの同定 LPOは、二次生成物まで進んでいない、フォスファチジルコリンに酸素が1分子結合したモノヒドロペルオキシドであることが同定された(紫外吸収差スペクトル測定、HPLCによる共役ジエンを持たない異性体の電気化学検出、マススペクトル測定、TLC測定により確認)。 II.細胞骨格タンパク質(Tb)へのLPOとの影響 (1)LPOはTbと相互作用してTbの立体構造を変化させた(蛍光スペクトル、紫外吸収差スペクトルおよびCDスペクトルにより確認)。 (2)TbのGTPase活性はLPOの添加により低下させられた。 (3)以上から、LPOはTbを劣化させ、細胞老化を導くと考えられた。 III.培養細胞へのLPOの及ぼす影響(特に細胞骨格への影響) 培養細胞中の細胞骨格への影響を検討するためラット副腎由来PC-12細胞を培養中。培養液中にLPOを添加したところ、細胞膜由来脂質に過酸化が進んでいることが確認された(HPLC分析およびマススペクトル分析)。また、生育も無添加に比べて劣った。 IV.ラット胎児脳細胞へのLPOの及ぼす影響 ラット胎児脳細胞そのものの生存や細胞骨格へのLPOの影響ついては、今後、検討する予定である。
|