2000 Fiscal Year Annual Research Report
数学的問題解決におけるメタ認知に対する問題領域の影響に関する研究
Project/Area Number |
12780151
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
加藤 久恵 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助手 (00314518)
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Keywords | メタ認知 / 数学的問題解決 / 問題領域 |
Research Abstract |
数学教育学におけるメタ認知研究は,「知識・技能をもっているのに問題が解けない」という状況にかかわる要因として注目され,今日まで活発に研究が進められてきている。つまりメタ認知は,関数や図形といった問題領域に依存する知識・技能とは違い,問題領域に依存しない部分を有する能力として,教育的期待が大きい研究テーマであるといえる。しかし,メタ認知と問題領域の関連についての詳細な研究は,ほとんど行われていないのが現状である。したがって,メタ認知に対する問題領域の影響を検討することによって,問題を超えた能力としてのメタ認知の機能を明らかにすることができる。その結果,ゆとりのある教育を目指した学習内容の精選という現在の社会の要請に対して,本研究は,学習内容の枠を超えた能力の存在,その特徴,そして育成に寄与する基礎的研究といえる。以上のことを踏まえて,具体的な本研究の目的は以下の3点を明らかにすることである。 (1)問題領域の影響に着目した,メタ認知を分類する枠組みの構築 (2)(1)に基づく,メタ認知の調査・分析の枠組みの構築 (3)数学的問題解決におけるメタ認知に対する問題領域の影響に関する実態調査 特に本年度は,(1)に関する研究を行った。 具体的には,メタ認知を分類する枠組みの検討として,以下の視点から研究を行っている。 (a)国内外の先行研究を収集し,本研究にかかわる研究状況を概観した。特に,数学教育学におけるメタ認知の分類に関する研究や,心理学における転移に関する研究を中心に行った。 (b)問題領域ごとに,授業や問題解決過程を観察し,問題領域ごとに児童の解決活動の特徴を同定し,メタ認知との関連を臨床的に考察した。 (c)(a),(b)の結果を踏まえて,問題領域の影響に着目したメタ認知の分類の枠組みを検討した。 (d)各問題領域ごとの児童の問題解決過程をビデオに記録し,その結果を(c)の分類の枠組みによって分析することにより,枠組みを検討した。
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