2000 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロプロセッサにおける高命令レベル並列処理のための投機実行方式に関する研究
Project/Area Number |
12780237
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 寿倫 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (00322298)
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Keywords | マイクロプロセッサ / 命令レベル並列処理 / 投機実行 / データ値予測 / 動的命令スケジューリング / 命令再発行 / アウトオブオーダー実行 / 最適化 |
Research Abstract |
近年値予測を用いたデータ依存の投機的実行が注目されているが,値予測のためのハードウエア量が問題となっている.本研究では,値予測機構のハードウエア量を削減することを検討している.具体的には,第1に,タグアレイ部に保持されるアドレスのビット幅削減を検討している.キャッシュとは異なり,値予測では得られた値が必ずしも正しくなくて構わない.なぜなら値予測に失敗した場合のための機構が備わっているからである.したがって,タグアレイ部に保持されるアドレスのビット幅を削減しても,プログラムの実行結果には問題無い.シミュレーションの結果,タグアレイ部は2ビットあれば十分で,プロセッサの性能に悪影響を及ぼさないことが確認された.これは,標準的な4096エントリの値予測機構の場合で8Kバイトのハードウエア量削減に相当する.第2に,演算結果の有効なデータ幅の特徴を利用して,データ値予測機構のハードウエア量を削減することを検討する.単純に予測機構に保持されるデータ幅を削減すると予測精度は著しく低下するが,提案する2モード値予測機構を用いることで予測精度の低下を抑えつつハードウエア量削減を達成できる.プロセッサ性能の評価では,用いたベンチマークプログラムのほとんどで,わずかに低下した予測精度の影響はほとんど無いことが確認できている.第3に,頻繁な値の局所性に着目し,予測値を0だけに限定している.SPECint95ベンチマークではレジスタに書き込まれる値の平均で15%が0であるので,予測値を制限しても有意義なパフォーマンスが得られると予想される.シミュレーションの結果,提案する予測器は,ハードウエア規模が約4倍の最終値型予測器と匹敵することが確認された.
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 佐藤寿倫: "タグビット幅を考慮したデータ値予測機構のハードウエア量削減"電子情報通信学会技術報告. CPSY2000-3. 15-22 (2000)
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[Publications] Toshinori Sato(佐藤寿倫): "Table Size Reduction for Data Value Predictors by Exploiting Narrow Width Values"Proceedings of International Conference on Supercomputing. 196-205 (2000)
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[Publications] 佐藤寿倫: "データ幅を考慮したデータ値予測機構のハードウエア量削減"並列処理シンポジウム予稿集. 245-252 (2000)
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[Publications] Toshinori Sato(佐藤寿倫): "KIT COSMOS Processor : Introducing CONDOR"Proceedings of International Conference on Parallel and Distributed Processing Techniques and Applications. 73-79 (2000)
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[Publications] Toshinori Sato(佐藤寿倫): "Partial Resolution in Data Value Predictors"Proceedings of International Conference on Parallel Processing. 69-76 (2000)
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[Publications] 中村佑介: "アウトオブオーダー実行における動的命令スゲジューリングアルゴリズムの性能比較"電子情報通信学会九州支部学生講演会予稿集. 72-72 (2000)
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[Publications] 濱野彰彦: "プログラムの最適化による値予測実行率への影響"電機関係学会九州支部連合大会予稿集. 781-781 (2000)
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[Publications] 杉谷樹一: "値予測におけるコンパイラが与える影響の違い"電気関係学会九州支部連合大会予稿集. 782-782 (2000)
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[Publications] 山本季之: "COSMOSプロセッサにおける最適化の有効性"電子情報通信学会技術報告. CPSY2000-61. 11-16 (2000)
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[Publications] 佐藤寿倫: "頻繁な値の局所性を考慮したデータ値予測機構のハードウエア量削減"電子情報通信学会技術報告. CPSY2000-62. 17-22 (2000)
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[Publications] 佐藤寿倫: "大規模スーパースカラプロセッサ向け命令発行機構"電子情報通信学会技術報告. ICD2000-144. 107-112 (2000)
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[Publications] Kiichi Sugitani(杉谷樹一): "Evaluating Effect of Optimization Level on Value Predictability"Proceedings of International Conference on Algorithms and Architectures for Parallel Processing. 695-698 (2000)