2001 Fiscal Year Annual Research Report
地域間関係性を考慮した電話通話需要の理論・計量的研究
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12780328
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
島根 哲哉 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (90286154)
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Keywords | 電話通話需要 / 空間的相互作用 / オッズ比分解法 / パネル分析 / 集計問題 / 機会費用 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下のとおりである. 機会費用に注目した加入電話の通話需要の考察:都道府県間通話量データによる実証分析(応用地域学会) まず,通話需要の決定が発信側のみならず,着信側の利用者の要因も考慮すべきであると考え,それぞれに互いに(潜在的)通話需要を有すると規定し,これを組み合わせて実現する通話量が決まるとして定式化を行った.さらに,それぞれの(潜在的)通話需要を規定する要因として,通話料金,所得などとともに,通話に要する機会費用や通話回線の共有に伴う回線当たりの通話量の増加や共有によるアクセスの困難さも取り込んだ.このように,ここの利用者間に通話需要が規定されたとき,実際に観察される共有された回線間の通話を地域問で集計した通話量がどのように現れるか,また集計によって個々の通話の様子がどの程度把握しうるかを数理的に整理した. さらに,前段で整理した通話需要モデルを,都道府県間の実際に観察された通話量を用いて,計量的に検証した.その際,通話量データに対応する通話料金の詳細なデータ入手が困難であることから,通話量をオッズ比分解し,これによって得られた放出性・吸収性を分析することで,料金データの欠落の影響とともに空間的な要因の影響を回避した.また,こうして得られた放出性吸収性をパネル分析することにより推定の精度向上を図った. その結果,発信側にあたる放出性の決定要因としては,ネットワークの規模を示す加入契約数のパラメータが有意に正の値を示し,規模拡大による地域間の通話量増加が認められた.しかしその値は1よりも小さいことから,効果は逓減的なものであるといえる.また,回線が共有されていることにより,1回線当たりの通話需要が増加する様子も認められた.さらに受信側にあたる吸収性の分析では,ネットワークの規模や回線の共有者数の増加が通話量の増加をもたらすこととともに,所得が多くなるほど,電話を受ける量が減少するという結果を得た.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 島根 哲哉, 樋口 洋一郎: "オッズ比分解法(ORDEC-II)を用いた県間・県内通話需要関数の推定"地域学研究. 30. 195-202 (1999)
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[Publications] 島根 哲哉, 樋口 洋一郎: "モンテカルロシミュレーションによるORDECの次元決定手続きの評価"東京工業大学社会工学専攻Discussion Paper. 02-2. 1-11 (2002)
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[Publications] 島根 哲哉: "機会費用に注目した加入電話の通話需要の考察:都道府県間通話量データによる実証分析"東京工業大学社会工学専攻Discussion Paper. 02-3. 1-12 (2002)