2000 Fiscal Year Annual Research Report
閉経が中高年女性の精神作業負担および作業遂行能に及ぼす影響
Project/Area Number |
12780341
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐藤 望 近畿大学, 理工学部, 講師 (60268472)
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Keywords | 閉経 / 精神作業負担 / 作業遂行能 / 自律神経機能 |
Research Abstract |
本研究は中高年女性を対象として、閉経が中高年女性の精神作業負担や作業遂行能に及ぼす影響を検討した。また、作業の種類によって自律神経機能への影響の程度が異なるかを検討した。被験者は年齢45〜55歳の女性10名(閉経前の女性5名、閉経後の女性5名)であった。作業として、操作性を劣化させたマウスを用いてコンピュータディスプレイ上に呈示された迷路状の軌道をトレースする擬似鏡映描写課題(骨格筋血管の収縮、徐脈をもたらす作業)と暗算課題(骨格筋血管の拡張、頻脈をもたらす作業)を各5分間づつ負荷した。作業遂行能の指標として擬似鏡映描写課題では軌道上をトレースした距離を軌道から逸脱した回数で除した値を算出し、暗算課題では回答に要した時間と正答率を算出した。精神負担感の指標としてNASA-TLXを各作業後に実施した。また、生理指標として心電図、呼吸、指尖容積脈波、収縮期および拡張期連続血圧を計測した。解析の結果、閉経前と閉経後の女性との間にはいずれの作業においても作業遂行に伴う負担感および作業遂行能に有意差は認められなかった。生理指標では閉経前の女性と比較すると閉経後の女性の方が心拍数、および血圧においてやや高値を示していたものの有意差は認められなかった。生理指標の測定値を作業間で比較したところ、閉経前・後による差異は認められなかったが、擬似鏡映描写課題よりも暗算課題の方が心拍数が高くなる傾向が認められた。以上より、閉経が精神的作業負担や作業遂行能に影響を及ぼすとは言えないことが示唆されたが、いくつかの生理指標において、閉経前の女性よりち閉経後の女性の方が自律神経機能が低下している傾向が窺われたため、平成13年度には閉経前、閉経後の被験者7名のデータを追加して再検討を行う。、また、若年女性12名に対して同様の実験を実施し、加齢の影響についても検討する予定である。
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