2000 Fiscal Year Annual Research Report
放電プラズマを利用した液状有機化合物の化学反応処理に関する研究
Project/Area Number |
12780361
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
迫田 達也 崇城大学, 工学部, 講師 (90310028)
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Keywords | 不飽和脂肪酸 / 飽和脂肪酸 / ステアリン酸メチル / 誘導結合型放電プラズマ / ダブルプローブ / 電子温度 / 電子密度 |
Research Abstract |
不飽和脂肪酸は酸化されやすく化学的に不安定であるが、水素添加を行って飽和脂肪酸を誘導することで酸化が防止され、品質の安定化をはかることができる。一般的な水素添加による誘導法として、加圧下でのニッケル触媒法が挙げられるが、昇温、加圧、触媒ろ過等の多くの工程を要する。また、これとは別にγ線を照射して水素添加を行う方法があるが、効率が悪く、装置の取り扱いも危険で一般利用は難しい。これらに替わる新しい方式として、本研究では、放電プラズマを用いた水素添加処理法を提案している。昨年度までに、フラスコ内でプラズマを生成して水素添加処理を試み、20秒間で25%の水素添加処理に成功している。しかし、この時のプラズマ動作圧力は比較的高く、フラスコ内の気体温度上昇による脂肪酸気化で、水素添加の反応が液体界面とプラズマ中で同時に行われた可能性があった。そのため、気化を伴わないγ線照射法との反応方式の違いを明確にすることができなかった。そこで今年度は、水素添加の処理過程で気体温度の上昇を抑制できるように、低圧力でプラズマを生成して水素添加処理を試みた。また、ダブルプローブを用いてプラズマの電子温度、密度を測定し、プラズマを用いた場合の反応が促進される原因を検討した。 結果として、電子温度3.5eVの水素プラズマによる3.5分のプラズマ処理で約3.5%のステアリン酸メチルを得た。また、この誘導結合型プラズマは、水素添加の反応エネルギーに必要な高エネルギー電子の供給とともに水素の励起原子あるいは水素イオンを効果的に供給できるので、γ線照射方式よりも効率が良いことが明らかとなった。反応効率の観点からいえば、数Pa下でのプラズマ処理よりも、数百Paで生成するプラズマによる処理の方が優れている。しかし、低圧力でのプラズマ処理では、出発モノマーを破壊することなく目的とする高分子を作製することが可能となる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Sakoda,H.Nieda,K.Kitahara and K.Ando: "Studies of the reaction difference between γ-ray and glow discharge on hydrogenation"Radioisotopes. Vol.49・No.8. 393-397 (2000)
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[Publications] 迫田達也,贄田寛,北原一太: "高周波放電プラズマを用いた不飽和脂肪酸への水素添加"崇城大学研究報告. 第25巻・第1号. (2001)