2001 Fiscal Year Annual Research Report
磁気島生成におけるブートストラップ電流の効果とMHD不安定性安定化の新機構
Project/Area Number |
12780369
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
菅野 龍太郎 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (30270490)
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Keywords | 磁気島 / ローカルアイランド / 大型ヘリカル装置 / MHD平衡 / プラズマ物理学 / 核融合科学 |
Research Abstract |
大型ヘリカル装置(LHD)実験において、周辺領域に生成されたローカルアイランドを用いたダイバータ(ローカルアイランドダイバータ、LID)による高温プラズマの閉じ込め改善が試みられようとしている。LHDにおけるLID実験では周辺部にm/n=1/1の磁気島を外部コイルにより生成するが、有限な平衡β値でのLHD平衡がこの磁気島によりどのような影響を受けるのか、また、ブートストラップ電流等の正味トロイダル電流が磁気島にどのような影響を与えるのかを理解する必要がある。そこで、本研究ではm/n=1/1等の磁気島をもつLHD平衡計算を時間発展緩和法に基づく三次元平衡計算コード「HINT」を用いて行った。ここで、特にブートストラップ電流の計算については、高速化・並列化のチューニングを行い、平衡計算がより効率的に行われるように工夫した。これにより、従来と比べて5倍以上計算処理が早くなった。改良したコードを用いた平衡計算の結果、(1)正味トロイダル電流無しの場合、平衡β値が数%程度まででは、m/n=1/1の磁気島がセルフ・ヒーリング効果によりヒーリングされることはなかった。(2)平衡β値を大きくすると、m/n=2/1の磁気島が成長し、閉じ込めを悪くすることが分かった。ここに、真空においては、m/n=2/1は、十分打ち消してあった。(3)正味トロイダル電流により、m/n=2/1の磁気島を抑制できることが分かった。(4)新たな数値的な平衡計算における困難さが明らかになった。これは、磁気島内の圧力はほぼ平坦であることから、∇pが磁気島の縁で定義できない(発散する)ことに起因する。実際の数値計算で、磁気島の縁における局所的な力のバランス∇p=j×Bにたいして十分な精度を確保できなかった。(磁気島の縁以外の領域では、局所的な力のバランスは十分な精度で取れている。)これは、圧力の緩和は、磁力線に沿ったものが支配的であるという物理的理解の下で行った平衡計算法と関係している。この問題は、これまでの数値平衡計算ではあまり問題にならなかったが、本研究において初めてその問題の存在が明確になった。MHD平衡計算法の更なる発展を促すものであると認識している。この問題を解決し、磁気島への電流等の影響をより正確に理解するために、新しい平衡計算スキームが必要であり、現在具体的な方法を考案、試みている。(5)さらに、実験に比較し得る現実的な平衡計算のために、計算領域にコイル電流を許すように「HINT」コードを改良し、平衡の物理的性質の詳細な解析を行っている。 以上の成果については、第43回アメリカ物理学会・プラズマ物理分科会(LP1・79)およびプラズマ・核融合学会第18回年会(27pB22P)において報告し、現在、計算結果を整理、専門雑誌へ投稿準備中である、
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