2000 Fiscal Year Annual Research Report
水素吸蔵合金電極を用いたトリチウム水のトリチウム回収法の開発
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12780377
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鳥養 祐二 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 講師 (80313592)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / 電解濃縮 / 同位体効果 / Pd / LaNi_5 / V |
Research Abstract |
現在まで、水素吸蔵合金電極として、水素ガスの吸蔵において重水素より軽水素の方が吸蔵しやすいPdと、その逆の同位体効果を示すLaNi_5、Vについて、軽水-重水系電解液による電解吸蔵の同位体効果を検討した。 重水濃度84%の電解液を用いてPdで電解した場合、吸蔵された水素量は電解時間5時間以降で(H+D)/Pd=0.8で一定となり、Pdに対して水素がほぼ飽和したと考えられる。吸蔵した水素の同位体比は、電解時間1時間において80%であったのが、電解時間の増加と共に重水素の比率は低下し、電解時間70時間では15%となった。このことは、反応初期では電解溶液と等しい比率で吸蔵されるが、Pd中に水素が飽和した後も電解を続けることで、Pd中でより安定なHがDを置換したため、軽水素の濃度が時間とともに高くなったと考えられる。このことからPdと逆の同位体効果を示す合金を用いれば、合金中に重水素を濃縮することが可能であることが示差される。そこで、Pdと逆の同位体効果を示すLaNi_5、Vについて、重水素濃度50%の電解液を用いて電解吸蔵による同位体効果を検討した。LaNi_5では、電解時間1時間において吸蔵した水素中の重水素の比率は20%であったのが、電解時間の増加とともに重水素濃度は増加し、電解時間120時間で40%となった。LaN_5中では、Pdとは逆に、合金中でより安定なDがHを置換しため、合金中の重水素濃度が増加したと考えられる。しかしLaNi_5では、電解時間の増加とともに電極自体が崩壊し、これ以上の重水素の濃縮は得られなかった。Vでは、電解時間20時間で吸蔵した水素中の重水の比率が50%を越えており、重水の濃縮が起きているようである。しかし、Vでは水素の吸蔵量が少なく、同位体比にばらつきが多いため、再現性を得られていない。今後の検討が必要である。 今後は、トリチウムの電解濃縮に最適な水素吸蔵合金電極の電極材料の探索を行う予定である。
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