2001 Fiscal Year Annual Research Report
中性子照射場での生体組織に対する吸収線量評価手法の改善に関する基礎研究
Project/Area Number |
12780384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
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Keywords | 中性子吸収線量評価 / 双子型検出器 / 真組織 / 比例計数管 / 電離箱 |
Research Abstract |
本研究は、電離箱あるいは比例計数管をもとに、組織等価(tissue equivalent)ならぬ真組織(real tissue)に対する中性子吸収線量評価のための手法の改善検討、および、その有効性と拡張性の確認を目的としている。具体的には、電離箱あるいは比例計数管の内部に生体組織サンプルを適量置き、これに中性子照射を行い、サンプルから発生する荷電粒子による電離量を測定することにより吸収線量評価を行う。 初年度は、京都大学研究用原子炉(KUR)重水中性子照射設備の熱、熱外、混合の各中性子照射場において、市販の組織等価プラスチック、黒鉛およびマグネシウムの3種類の壁材の電離箱に対して中性子およびγ線に対する応答特性の確認を行った。その結果、中性子に対する感度がもっとも低いマグネシウム電離箱を本研究に用いるための検出器として選定し、電離箱内部にサンプルを入れるための小改造を施した。 本年度は、上記の小改造マグネシウム電離箱に生体サンプルあるいは生体等価サンプルを入れ、真組織電離箱あるいは真組織比例計数管としての特性確認を行った。5×10^7cm^<-2>s^<-1>程度の高速中性子束に対して、0.1cc程度のサンプル量で、サンプルを入れない場合に対して電離電流量あるいはスペクトルに優位な差が出るととが確認された。熱中性子に対する感度はやや悪く、同様の優位差を得るためには、2×10^9cm^<-2>s^<-1>程度の熱中性子束に対して、窒素の含有量の多い(3.5%程度)組織等価プラスチックサンプルでも0.2cc程度のサンプル量が必要であった。なお、スペクトル評価を行う上では、本設備におけるデータ蓄積時間は半日〜1日程度は必要であることも判明した。 今後は、真組織に対する吸収線量評価手法を確立するために、引き続き、基礎データの蓄積を継続するとともに、スペクトル解析プログラム等の作成も行っていく予定である。
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