2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12780396
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福間 浩司 熊本大学, 理学部, 講師 (80315291)
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Keywords | 気候変動 / 深層水循環 / 環境磁気学 / 磁気異方性 / 磁気ヒステリシス |
Research Abstract |
過去の深層水の変動を求めるため,深層水の沈み込む海域である北大西洋の海底堆積物試料の磁気異方性の測定を昨年度(平成12年度)に継続して行った.昨年度の予察的な磁化率異方性の測定によって,従来のサイズの数分の1である1ccの立方形試料を使っての測定が可能であることを確かめ,深層流による磁性鉱物の配列を示すと考えられる磁気ファブリックを見いだすことができた.しかし,流れによる配列は限られた粒径・形状を持つ粒子に顕著に現れるため,粒径・形状によって分別することができる部分的非履歴性残留磁化異方性がよりシャープなシグナルを与えることができる.非履歴性残留磁化を与えるためのコイルを設計し,特定の交流磁場の範囲で自動的に直流磁場をオンにすることができる回路を組み,高い精度で異方性を与えることができるアダプターをデザインした.非履歴性残留磁化異方性は,低保磁力の範囲で堆積物の圧密に伴うと考えられる扁平なファブリックを示し,高保磁力の範囲で深層流を反映している直線性のファブリックを示す. 一方,深層水の太平洋への流入経路にあたるニュージーランド沖の堆積物中の磁性鉱物の種類・量・粒径を調べるため,交番磁場勾配磁力計によって磁気ヒステリシスの測定を行った.磁性鉱物の含有量は極めて少なく,高感度の交番磁場勾配磁力計によっても測定は困難を極めたが,測定方法の改良によりノイズを抑えることができた.磁性鉱物の含有量は氷期・間氷期サイクルに応じて明瞭に変化し,基本的に氷期に低く間氷期に高くなる.しかし,氷期には含有量の鋭いピークも見られ,これらのピークはニュージーランドからの氷山の流出を示しているものと考えられる.磁気的性質からみた北大西洋の深層水沈み込みの数千年周期の変動,それに伴う流速を変化を示す磁気ファブリックの変化,さらにニュージーランド沖での深層水の太平洋への流入についての論文を執筆中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 福間浩司ほか: "北太平洋の堆積物の地磁気強度層序"JAMSTECR. 43. 83-91 (2001)
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[Publications] M.Torii et al.: "Mineral magnetic study of the Taklimakan desert sands and its relevance to the Chinese loess"Geophys. J. Int.. 146. 416-424 (2001)
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[Publications] N.Harada et al.: "Is amino acid chronology available to estimate geological age of siliceous sediment ?"Geophys. Res. Lett.. (2002)