2000 Fiscal Year Annual Research Report
化学的分画法と分光学的手法を用いた水圏における溶存有機炭素の循環の解明
Project/Area Number |
12780397
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉山 裕子 姫路工業大学, 環境人間学部, 助手 (40305694)
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Keywords | 溶存有機炭素 / 分画 / 循環 |
Research Abstract |
河川水・湖水・沿岸海洋水などに溶存する有機炭素(DOC)の挙動を把握し、循環の法則を探る目的で、樹脂と水酸化鉄を用いた化学分画にHPLCによるゲル浸透クロマトグラフィーを組み合わせることを試みた。濃縮操作を兼ねた分画法として疎水性樹脂と水酸化鉄を用い、河川水・湖水・沿岸海水などの試料水からそれらの吸着担体に濃縮された有機物を溶離後、HPLCを用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)でさらに分離し大まかな分子裏を測定するとともに、フォトダイオードアレイ検出器と蛍光検出器でGPCにより分離されたそれぞれのピークが有する分光学的特徴を測定した。岡山県高梁川中流域(湛井堰)及び下流域(霞橋)から抽出された河川水フルボ酸は、中流域においても下流域においても約0.5mgCl^<-1>の濃度で溶存していた。分子裏分布を調べたところ、M.W.6500および5500付近に2つの大きなピークが見られた。また、M.W.4500付近にもピークが見られた。前2者のピークの吸収曲線の形状は類似しており、400nm付近から短波長側で吸収を示して300nmと210nm付近に極大吸収を持った。3つ目の低分子量ピークは、220nm以下で急激に吸収を示した。河川水腐植酸が有したこのようなピークは琵琶湖水でも見られた。琵琶湖水で2000年4月に採水された表層水中での検討の結果、河川水腐植同様の三種のピークが得られ、特に3つ目のピークが大きいことがわかった。また、瀬戸内海表面水では3つ目のピークと類似の吸収曲線を有するさらに低分子量ピークが見られた。この分析法により、湖水や海水で生成した「自生」の有機物と河川水より流入した「外来」の有機物を区別することができると考えられる。
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