2000 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の生殖特性を利用した環境ホルモンの精子形成への作用の解析
Project/Area Number |
12780404
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 晋也 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (30263156)
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Keywords | C.elegans / 環境ホルモン / 精子形成 / ステロイドホルモン / 重金属 |
Research Abstract |
研究目的と背景 本研究は線虫(Caenorhabditis elegans)の生殖特性を利用して、新しい環境ホルモン評価システムを確立することを目的としている。 環境ホルモンは胎生期のホルモンバランスを撹乱し、結果的に精子の減少を招くという可能性が実験動物で示されているが、人間でもそれが起こっているのかについては見解の相違がある。また、環境ホルモンの精子減少のメカニズムについてはほとんど何もわかっていない。一匹の線虫が生み出す産仔数はその精子数で決まり、それはほぼ一定で約300個である。環境ホルモンが線虫においても、精子減少を招くならば、その影響は産仔数を計数することで評価、解析ができる。本研究は、産仔数を計数することで環境ホルモンの影響を定量的に解析することを原理としている。 研究成果 環境庁から環境ホルモンとして指摘されているDES(ジエチルスチルベストロール:合成エストロゲン)、ビスフェノールA、ノニルフェノール、オクチルフェノール(アルキルフェノール)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジブチルベンゼン(フタル酸化合物)、スチレンモノマーを培地に添加し、線虫の産仔数を計数した。また、環境ホルモンとの相加的、相乗的効果を検討するため、様々な重金属塩、ステロイドホルモン類と混合させた状態でも検討した。その結果、上記7つの環境ホルモンだけでは産仔数の減少という効果は認められなかったが、重金属と混合させた時、極めて低い濃度において産仔数の減少が認められた。現在、この結果を再確認するとともに、どの環境ホルモンと重金属が関与しているかを検討している。 また、環境ホルモンは脂溶性であることから、脂質分散系エマルションに溶かした状態で線虫に摂取させることも行なっている。
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