2001 Fiscal Year Annual Research Report
ダニ抗原誘発性気管支喘息に対するホルムアルデヒドの影響について
Project/Area Number |
12780409
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
定金 香里 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助手 (20322381)
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Keywords | ホルムアルデヒド / ダニ抗原 / 気管支喘息 / 粘液細胞化 / 好酸球 |
Research Abstract |
近年アレルギー性疾患が増加している背景には、住宅事情の変化が関与していると考えられている。住宅の気密化はダニが繁殖しやすい条件を作り出し、喘息患者の居室にはダニアレルゲンが比較的多いという報告もある。また新建材に使用されているホルムアルデヒドは、様々な過敏症を引き起こすことが調べられており、さらにアレルギー性疾患を悪化させるという報告がある。 現代住宅事情において、我々は日常的にこれらアレルギー関連因子であるダニとホルムアルデヒドに曝露される環境下にあるといえる。そこで、本研究はダニ抗原誘発性気管支喘息様モデルマウスを用い、病態発症に対するホルムアルデヒドの増強作用を評価することを目的とした。 H13年度は、比較的低濃度のホルムアルデヒドを長期間曝露し、呼吸器への影響を病理学的、生化学的に調べた。コナヒョウヒダニ抽出抗原10μgをマウスに腹腔投与後、3週間毎に0.5μgダニ抗原を4回又は8回気管内投与した。抗原感作期間中、ミスト状にした0.2%ホルムアルデヒドを15分間、週に一度3ヶ月又は6ヶ月マウスに曝露した。最終抗原投与から3日目にマウスを屠殺した。 ホルムアルデヒドを3ヶ月及び6ヶ月ダニ抗原と共に曝露し、マウスの気道上皮の形態的変化を観察した結果、ダニ抗原投与によって誘発される好酸球の遊走や気道上皮の粘液細胞化に、ホルムアルデヒドによる有意な増悪作用は見られなかった。血清中のダニ抗原特異的IgG1抗体産生、肺組織中のサイトカイン(IL-5、RANTES、eotaxin、IFN-γ、TNF-α)産生にもホルムアルデヒドによる有意な影響は見られなかった。ダニ抗原特異的IgE抗体は、ダニ単独曝露でも、ダニ・ホルムアルデヒド併用曝露でも産生されなかった。これらの結果は、比較的低濃度のホルムアルデヒド長期間曝露はダニ抗原誘発性の気道炎症に対し、影響を及ぼさないことを示している。
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