2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射線に応答し細胞内局在を変化するDNA二重鎖切断修復蛋白の同定と機能解析
Project/Area Number |
12780412
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
小池 学 放射線医学総合研究所, 第2研究グループ, 研究員 (70280740)
|
Keywords | Ku70 / Ku80 / localization / GFP / DNA二重鎖切断修復 |
Research Abstract |
本年度はDNA二重鎖切断修復機構で機能する新たな蛋白質を同定するために、「放射線照射後に局在を変化させること」を指標に探索する新規同定法を確立することを目的に研究を進めた。 1 既知の放射線応答蛋白質を用いた予備的な実験:電離放射線によるDNA二重鎖切断修復機構で機能する新たな蛋白質を同定するためには、まず、既知の蛋白質についての特徴を理解する必要がある。そこで、DNA二重鎖切断の修復機構で働く既知の蛋白質(Ku70等)の細胞内局在とその局在変化について解析を行った。その過程で得た細胞内局在制御機構については別紙の通り論文発表を行った。 2 ヒト皮膚組織由来のcDNA発現ライブラリーの作成:人体を形成する各組織ではその特性を発現するために組織特異的なmRNA転写が行われている。本研究では最も放射線に曝される可能性が高い組織であるヒト皮膚で発現していたmRNAに由来するcDNAライブラリーを使用した。また、目的蛋白質を同定する指標が「放射線照射により細胞内局在が変化すること」なので、目的蛋白質を同定するためには放射線照射前後に蛋白質の細胞内の位置を確認する必要がある。従って、蛋白質の局在変化を調べるために、GFP融合蛋白質として発現する様にGHP遺伝子の下流に各cDNAを組み込んだ遺伝子発現ベクターライブラリーを構築した。 3 ヒト皮膚表皮角化細胞への遺伝子発現ベクターの導入:ライブラリーからの各遺伝子発現べクターはプラスミドとして調整し、これをマイクロタイタープレートに培養しておいたヒト培養細胞へリポソーム法を用いて遺伝子導入した。同時に、目的の蛋白質を発現するベクターを同定した後の塩基配列決定などを効率よく行うために、各プラスミドの一部を別途保存した。 4 電離放射線に応答し細胞内局在を変化する蛋白質の探索:遺伝子導入した培養細胞はGFP融合蛋白質を充分発現させるために、遺伝子導入後2晩培養した。培養後、このプレートを倒立蛍光顕微鏡で1穴毎に観察を行い、細胞内の局在を同定し、デジタル画像として記録した。ついで、電離放射線照射装置により放射線を照射後、一定期間培養した後で、照射前と同じ方法で細胞内の局在を同定・記録した。目的蛋白質を一つでも多く得るために初年度は探索を集中的に行った結果、現在約1万クローンまで解析を終えた。今後、照射前後に融合蛋白質の局在が変化していたベクターについては、保存していたプラスミドにより再検定を行い、局在変化を再確認した後、自動シークエンサーによりDNAの塩基配列を決定する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Koike M, et al.: "Dimerization and nuclear localization of Ku proteins."J. Biol. Chem.. (in press).
-
[Publications] Koike M, et al.: "Expression and chromosome mapping of hamster Ku70 and Ku80."Cytogenetics and Cell Genetics.. (in press).
-
[Publications] Koike M, et al.: "Ku70 can translocate to the nucleus independent of the translocation and DNA-PK autophosphorylation."Biochem. Biophys. Res. Commun.. 276. 1105-1111 (2000)