2000 Fiscal Year Annual Research Report
ケナフ繊維の有効利用を目的とした繊維強化プラスチックの成形とリサイクル方法の提案
Project/Area Number |
12780419
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
仙北谷 英貴 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70313343)
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Keywords | 天然繊維 / ケナフ / 複合材料 / プラスチック / リサイクル / 不飽和ポリエステル樹脂 |
Research Abstract |
アオイ科ハイビスカス属の植物であるケナフから繊維を採取し,その繊維を用いて繊維強化プラスチックを成形し,その力学的特性を評価する目的で研究を行った. まず,ケナフ原木を観察したところ,約1mmの厚さの靭皮と10〜30mmの直径のコアから構成されていた.コアは多孔質で非常に軽い素材であり,これから繊維を取り出すのは困難かつ非効率的と考えられる.そこで,靭皮のみを採取して繊維長が約5mmになるように裁断し,80℃の5wt%水酸化ナトリウム水溶液に浸せき処理することにより,繊維を取り出すことを試みた.水溶液が十分過剰な条件下では,約1時間の浸せきで樹脂分は溶解し始め,45時間以上浸せきさせると徐々に繊維も分解することが明らかになった.これらの知見等から,60時間浸せき処理して得た繊維を回収し,中和・洗浄した後,乾燥させてケナフ繊維を得た.これをオルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂と混合してホットプレスにより加熱・硬化させ,ケナフ繊維強化プラスチックを得た.繊維の充てん量を変化させて,ケナフ繊維強化プラスチックの曲げ弾性率と曲げ強度を測定したところ,充てん量の少ない領域では弾性率と強度の両者とも低下したが,充てん量がある程度大きくなると両者とも回復し,樹脂単体よりも高い値を示すことが明らかになった.充てん量が力学的特性に与える影響について,走査型電子顕微鏡観察により,微視的な観点から破壊機構を検討した.その結果,低充てん量の試験片では応力に対し90方向に配向したケナフ繊維をき裂が選択的に通過しているのに対し,高充てん量の試験片ではこのような経路を通ることができず,繊維の引き抜きおよび繊維破断によって破壊が起きていることが明らかになった.
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