2001 Fiscal Year Annual Research Report
安価な高性能吸着剤を用いた農業集落排水からのリンの除去・回収方法の確立
Project/Area Number |
12780425
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高梨 啓和 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (40274740)
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Keywords | リン / 吸着 / 粒内拡散係数 / pH / カルシウム添加効果 |
Research Abstract |
本研究では、様々なリン除去技術の中で、設置面積が小さく維持管理が容易であり、汚泥生成量が少なく、他の除去技術に比べて低濃度のリンを除去・回収可能な吸着法に着目し、従来より検討例が多く、安価で比較的吸着容量が大きい活性アルミナを、硫酸アルミニウムで処理した吸着剤を用いた検討を行った。 その結果、硫酸アルミニウムで処理することにより、吸着容量はほとんど増加しなかったが、連続通水可能倍率は大幅に増加し、処理効果が認められた。これは、硫酸アルミニウムが加水分解してプロトンを生成し、細孔内および吸着カラム内のpHを吸着に適してpHに低下させたためと考えられる。そこで、pHの影響を検討した結果、pHの影響は大きく、リン酸イオンの解離状態が変化して平均電荷が変化することと、吸着剤の表面電位が変化することの両方が影響していた。以上より、本吸着剤がpHの自己調整機能を有することが連続通水可能倍率を増加させた理由と考えられる。 また、本吸着は、リン酸イオンと硫酸イオンとのイオン交換であった。通常、活性アルミナによるリン酸イオンの吸着は、表面水酸基とのイオン交換と考えられているが、本吸着剤では、表面水酸基が予め硫酸イオンに置換されているため、硫酸イオンとのイオン交換になったと考えられる。 さらに、本吸着剤の吸着等温線、粒内拡散係数を求め、吸着カラムの設計に必要な値を得た。また、吸着容量に対する共存イオンの影響を検討し、ヒ酸イオン、炭酸イオン、珪酸イオンが主な妨害イオンとしてあげられた。これに対し、カルシウムイオンは、中性〜弱アルカリ性域においてリン酸イオンの吸着量を増加させる効果が認められた。これは、リン酸イオンの解離が進行しているpH域において、カルシウムイオンがリン酸イオンの見かけの平均電荷を減少させる効果があることによるものと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hirokazu Takanashi, Kohei Urano, Makoto Hirata, Tadashi Hano, Shinichiro Ohgaki: "Method for Measuring Mutagen Formation Potential(MFP)on Chlorination as a New Water Quality Index"Water Research. 35. 1627-1634 (2001)
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[Publications] Misato Hironaka, Makoto Hirata, Hirokazu Takanashi, Tadashi Hano, Shigenobu Miura: "Contribution of Water in Extraction and Stripping Kinetics of Lactic Acid with Tri-n-Octylmethylammonium Chloride"Solvent Extraction Research and Development, Japan. 8. 103-112 (2001)
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[Publications] 羽野 忠, 平田 誠, 高梨啓和: "醤油製造プロセスにおける物質フローの解析と醤油粕の乾留再資源化"環境科学会誌. 14(4). 325-331 (2001)
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[Publications] Misato Hironaka, Makoto Hirata, Hirokazu Takanashi, Tadashi Hano, Shigenobu Miura: "Kinetics of Lactic Acid Extraction with Quaternary Ammonium Salt"Separation Science and Technology. (in press).
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[Publications] Hirokazu Takanashi, Miho Mayumi, Mitsue Kato, Makoto Hirata, Tadashi Hano: "Removal of mutagen precursor from wastewater by activated sludge and oxidation treatment"Water Science and Technology. (in press).
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[Publications] Rudi Nugroho, Hirokazu Takanashi, Makoto Hirata, Tadashi Hano: "Denitrification of industrial wastewater with sulfur and limestone packed column"Water Science and Technology. (in press).
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[Publications] 羽野 忠, 平田 誠, 高梨啓和: "ゼロエミッション型産業をめざして-産業における廃棄物再資源化の動向-"シーエムシー出版. 850 (2001)