2000 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域木材貿易モデルによる林産物貿易自由化の森林の持続可能性への影響分析
Project/Area Number |
12780428
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
島本 美保子 法政大学, 社会学部, 助教授 (70245629)
|
Keywords | 林産物 / 貿易 / 空間均衡 / アジア / シミュレーション |
Research Abstract |
FAOのGFPM(空間均衡分析による世界林産物貿易モデル)を応用し、林産物15製品を対象とし、内生的に生産量、消費量、貿易量が決まるアジア16カ国と、これらの国の主な貿易相手国としての7カ国について、1997年を基本年とし2020年までの林産物需給を求めるアジア林産物貿易モデル(AFPM)のバージョン1を製作し、このモデルによる基本ケース(Business as Usual)のシミュレーションを行った。 その結果、アジア地域の林産物の生産、消費、貿易の将来について、以下のようなことがわかった。丸太については生産量の増加率はこれまでより緩やかになり、アジア域外からの輸入量の増加率が輸出量の増加率を上回る。製材の生産量・消費量の伸びは緩やかで、製材のアジア域外への輸出が減少する一方、輸入量が増加する。他方本質ボード類(ベニヤ、合板、パーティクルボード、ファイバーボード)は全般的に消費量の伸びが予想される。特にファイバーボードの消費の伸びが著しい。しかしいずれもアジア域外の輸出より域外からの輪入量の増加率が大きい。紙も全体として消費が増える。特に印刷用紙の伸びが著しい。紙類についても、アジア域外の輸出より域外からの輪入量の増加率が大きい。つまり全体的な林産物に関するアジア地域の将来は、原料供給地としての地位を下げ、域外からの製品輸入への依存度を高めることになるだろうという予測結果になった。 しかしこのAFPMのバージョン1は、シミュレーション上のさまざまな問題点が多いため、それらを修正したバージョン2の製作を次年度に行う予定である。
|