2000 Fiscal Year Annual Research Report
巨大生体分子の高次構造解析のためのイオンサイクロトロン共鳴型表面誘起解離法の開発
Project/Area Number |
12780449
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
内藤 康秀 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (40237186)
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Keywords | 質量分析 / FTMS / サイクロトロン運動 / イオントラップ / 表面誘起解離 / 生体分子 / タンデム質量分析 / 高次構造解析 |
Research Abstract |
本研究は質量分析法を用いた生体高分子の高次構造解析を促進するための、効果的なイオン断片化の実現を目的として行われた。断片化の手段として表面誘起解離法(Surface-induced dissociation,SID)、質量分析法としてフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(Fourier transform ion cyclotron resonance mass spectrometry,FTICR MS)を採用し、装置の開発を進めてきた。質量分析装置内でのSID実験についてはこれまでにも多数報告されており、生体分子の構造解析に応用された実例もあるが、本研究では高磁場中で加速したイオンのサイクロトロン運動が高い運動エネルギー領域に達することを利用して、衝突エネルギーを最大限まで高めている点に特徴がある。 研究計画ではイオン軌道の計算機シミュレーションを実施し、その結果に基づき衝突用基板を設計する予定であったが、検討すべき設計要素が極めて多くシミュレーションによる絞り込みが困難であるため、衝突用基板の着脱・交換が容易に行える衝突プローブ導入システムを設計した。さらにこの設備の応用としてSID実験だけでなく、イオンソフトランディングを用いた質量選択的な生体高分子分離回収実験も行えるように、プローブスライド機構を工夫した。また超伝導マグネット周辺磁場の作用下でも確実に高速動作する、電空弁を利用した衝突プローブ用アクチュエータを設計した。そしてこれらの機器の製作と並行して衝突用基板を設計するためのイオン軌道シミュレーションを行ってきた。 現時点で衝突プローブ用アクチュエータの主要部分と衝突プローブ可動システムは完成しており、FTICR MS装置への取付と調整が進行中である。
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