2000 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ基転移酵素における基質認識機構の多様性と類似性
Project/Area Number |
12780456
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮原 郁子 大阪市立大学, 理学部, 講師 (40271176)
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Keywords | 基質認識 / アミノ基転移酵素 / X線構造解析 |
Research Abstract |
ヒスチジノールリン酸アミノ基転移酵素に関して、セレノメチオニン酵素と2つの水銀誘導体を用いた多重同形置換法により酵素の高分解能でのX線結晶解析に成功した。現在、基質認識機構についての詳細を検討するために、基質類似物との複合体の作成を試みている。分岐鎖アミノ酸アミノ基転移酵素(BCAT)に関して、基質取り込み時に重要とされる2つのアルギニン残基をロイシンに置換した酵素を作成し、その酵素活性をしらべると同時に結晶構造解析をおこなった。しかしながら、非常に活性が弱く野生型と同様なアッセイ法では反応解析が困難であった。また、変異型酵素の基質に対するKm値が非常に高く、基質類似物との複合体の結晶構造を得る事ができなかった。これらの点に関しては、現在方法を改良中である。大腸菌由来のBCATに関して、すでに分岐鎖アミノ酸の基質認識機構はあきらかになっていたが、BCATのもう1つの基質であり、多くのアミノ基転移酵素の基質となるグルタミン酸に対する基質認識機構をあきらかにしようと試みた。しかし、グルタミン酸のKm値がもともと低いため、類似物もなかなか結合しない、あるいは結合しても明瞭な電子密度が得られなかった。そこで補酵素であるピリドキサールリン酸(PLP)とグルタミン酸を反応させ、NaBHでシッフ塩基を還元したピリドキシル-グルタミン酸をアポ酵素に再構成させ、この構造解析を行った。BCATは他のアミノ基転移酵素に見られるような、フレキシブルなループ構造をもっている。フリーな酵素と基質類似物を結合した状態の酵素の構造の解析をおこない、BCATにおいてもこのループ構造が基質認識に非常に重要な役割を担っているということが明らかとなった。
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